1993 Fiscal Year Annual Research Report
両生類をモデルとした視床下部・下重体系形成の実験形態学的研究
Project/Area Number |
05454024
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊山 榮 早稲田大学, 教育学部, 教授 (20063638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 恒平 日本医科大学, 助手 (60222303)
山内 兄人 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10053357)
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Keywords | 視床下部-下垂体系 / 形態形成 / 下垂体の発生・分化 / 両生類 / プロラクチン / 成長ホルモン / POMC細胞 / 糖タンパクホルモン |
Research Abstract |
神経胚期に後部視床下部原基である神経板中央前端部を除去すると、下垂体原基は脳組織と接することなく発生する。動物は変態をとげるがこの個体の下垂体は免疫組織学的にしらべたところPOMC細胞(MSHとACTH細胞)をまったく含まないことがわかった。これは視床下部からPOMC細胞が供給されるためでないことは標識された細胞を用いた実験でたしかめられた。このことは下垂体原基そのものが後部視床下部またはその部位を通じて誘導をうけないとPOMC細胞の分化がおこらないことを示唆している。更にこのような下垂体細胞の各ホルモン含有細胞の割合をしらべると正常動物のそれにくらべてプロラクチン、成長ホルモンの割合が減少し、糖タンパクホルモンが増加していることがわかった。すなわち後部視床下部の欠如および/またはPOMC細胞の欠如が糖タンパクホルモン含有細胞の発達を促進している可能性も示唆された。またどの時期まで下垂体原基が脳組織に接していればPOMC細胞が発達するかをしらべたところ、その時期は尾芽期の中期であることが判明した。一方下垂体の原基となる神経隆起中央部およびその周辺を螢光標識し、その発生運命をしらべたところ、下垂体原基となるべき部位の左右から鼻板(鼻の原基)が発生すること、鼻の原基となるべき部位を除去しても下垂体原基となるべき部位がのこっていれば鼻板は発生する。しかし逆に下垂体になるべき部位を除くと鼻になるべき部位があっても下垂体は発生してこないことがわかった。また下垂体ホルモン間の相互作用のモデルとして糖タンパク質ホルモンのalphaサブユニットの他のホルモンの分泌機能に対する影響をみたところ、同物質はプロラクチン、成長ホルモンの分泌を促すことがわかった。
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[Publications] Kawamura,K.Kikuyama,S.: "Communication between brain and pituitary during early amphibian development" Cellular communication in Reproduction.Journal of Endocrinology Ltd,Bristol. 5-10 (1993)
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[Publications] Kikuyama,S.Inaco,H.Jenks,B.Kawamura,K.: "Development of the ectopically transplanted primordium of epithelial hypophysis(anterior neural ridge) in Bufo japonicus embryos" The Journal of Experimental Zoology. 266. 216-220 (1993)