Research Abstract |
1.細胞質分裂の分裂面決定因子(分裂停止突然変異株cdaAの変異遺伝子産物,p85)の精製は,テトラヒメナで蛋白質分解酵素の活性が極めて高いこと,p85の含量が少ないことが原因で,大量精製によるアクチンとの相互作用は調べられていない。しかし,ホモジェネート中にカゼインを加え,PMSF等の蛋白質分解阻害剤を入れ,0.5MKI存在下での50-70%硫安分画,フェニールセファロースカラムやそれに引き続くSP-Toyopealカラム,MonoQカラムクロマトグラフィーで徴量ながら精製に成功している。現在p85の遺伝子をクローニングするため,p85のN末及び分解物のアミノ酸配列を一部決定中であり,これらを参照してオリゴヌクレオチドをプロープとして,遺伝子の単離と塩基配列をきめ,p85の性状を調べようとしている。 2.アクチン繊維を束ねることを見出したテトラヒメナのEF-1αについて,GTP-結合能,束化のイオン強度依存性,pH依存性等を詳しく調べた。その結果,GTPとは約1:1結合,束化は50mMKCl,pH6.5が至適であることが判った。また,EF-1αが分裂停止突然変異株cdaC6の変異遺伝子産物とどの様な関連を持つかについて,性状を調べ検討している。 3.分裂溝の収縮制御には,Ca^<2+>やCa^<2+>-結合蛋白質の関与が推定されており,我々はテトラヒメナから単離したカルモジュリン,TCBP-23,TCBP-25の遺伝子を用いて,大腸菌での大量産生を試み,Ca^<2+>-感受性を保持するそれぞれのCa^<2+>-結合蛋白質の精製に成功した。また,それぞれの抗体も調製でき,イムノブロットや蛍光抗体法により,TCBP-23及びTCBP-25が細胞内Ca^<25>濃度を調節するアルベオラーサックで役割を果すことが判り,現在,分裂との関係を調べている。 4.テトラヒメナミオシンの精製は千葉大学丸山研究室との共同で部分精製の段階まで成功した。現在精製分画に含まれるクラスリン等の除去を検討中である。 5.細胞質分裂に係るsmall G-蛋白質のテトラヒメナでのクローニングとシークエンシングを岐阜大学野沢研究室との共同で試みた。分裂に密接に係ると思われるrho遺伝子はとれていないが、ran/TC_4遺伝子のクローニングに成功した。分裂との係りを検討しようとしている。
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