1995 Fiscal Year Annual Research Report
テトラヒメナの分裂停止突然変異株を利用した細胞質分裂の分子機構の解明
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05454025
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Research Institution | Joubu University |
Principal Investigator |
渡邊 良雄 上武大学, 商学部, 教授 (00015918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 治 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (50189354)
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Keywords | テトラヒメナ / 細胞質分裂 / p85遺伝子 / F-アクチン束化因子 / EF-1α / Ca^<2+>・カルモデュリン / カルモデュリンファミリー蛋白質 / 分裂停止突然変異株 |
Research Abstract |
動物細胞の細胞質分裂の分子機構を解明するため、テトラヒメナの分裂停止突然変異株(cda遺伝子座)の変異遺伝子産物の分裂における役割の解析を中心に研究を進めた。 cdaA変異株は分裂予定面の位置を決定する因子に温度感受性の欠陥をもつが、位置決定のみならず収縮環微小繊維形成の重合核としての性状も明らかにした。この変異株の変異遺伝子産物(p85)の性状を知るため、遺伝子のクローニングと配列の決定を行った。データーベース解析から、これまでに報告されていない新しい蛋白質であることが判り、N未に3つの反復配列、C未に2つの別の反復配列をもち、しかも一部に、アクチン、EF-1α,Ca^<2+>・カルモデュリン依存プロテインキナーゼ等との相同配列をもち、カルモデュリン結合部も保存されていた。このことから、p85は細胞分裂にとって重要な役割を果す多機能蛋白質である可能性が示された。 cdaC変異株は細胞質分裂のマシ-ナリーそのものに温度感受性の欠陥があり、変異遺伝子産物はアクチン繊維を束化する因子であることを明らかにしてきた。我々はテトラヒメナのペプチド伸長因子であるEF-1αにアクチン繊維を束化する顕著な活性があることを見出した。細胞質分裂を行う時に収縮環の収縮が起るが、その収縮力はアクチン束化因子を介して表層の陥入をもたらす。その時束化因子は収縮の度に、アクチン繊維に結合したり、離れたりを繰返えすものと考えられる。この束化因子の脱着の制御機構を検討したところ、この制御にはCa^<2+>・カルモデュリンが関与する明白な実験結果が得られた。 また、収縮環の収縮には、アクトミオシン系が関与するが、このCa^<2+>制御が如何になされているかについても検討した。テトラヒメナには3種のカルモデュリンファミリーに属するCa^<2+>-結合蛋白質(カルモデュリン、TCBP-25, TCBP-23)が存在するので、それぞれの遺伝子を大腸菌で発現させ精製し、分裂におけるそれぞれの機能を追求した。
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