1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七田 芳則 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60127090)
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Keywords | 桿体 / 錐体 / 松果体 / トランスデューシン / G蛋白質 / ピノプシン / 光受容蛋白質 / 光情報伝達 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を進め、以下の知見を得た。 【1】桿体・錐体:桿体のG蛋白質トランスデューシンγ(Gtγ)はファルネシル化され、他の多くの組織のGγはゲラニルゲラニル化されている。このイソプレニル基の違いの生理的意味を探るため、バキュロウィルス-昆虫細胞の蛋白質発現系を用いてゲラニルゲラニル化変異Gtγを作成し、βγとしての機能を野生型ファルネシル化βγと比較した。その結果、変異型Gtβγは野生型GtβγよりもGtαに対して高い親和性を示し、αのGTP結合活性をより強く促進した。つまり、γのイソプレニル化はG蛋白質の機能を決定する重要な役割を果たしている。一方、桿体と錐体の光応答特性の違いを光受容分子レベルで解析するため、オオヤモリの光受容蛋白質P467とウシロドプシンから成る数種のキメラ蛋白質を作成した。それらの機能を比較した結果、細胞の光応答特性を決定するメタII中間体の寿命は光受容蛋白質のαヘリックス1〜3のアミノ酸配列によって支配されていることが判明した。 【2】松果体:研究代表者らが発見した松果体の光受容蛋白質ピノプシンの情報伝達経路を明らかにするため、ヒヨコ松果体cDNAライブラリーより、G蛋白質αサブユニットの遺伝子を検索した。その結果、Gtα(桿体型)・Go1α・Go2α・Gi2α・Gi3αをコードすると思われる遺伝子が単離できた。推定アミノ酸配列では、松果体Gtαはウシ錐体Gt2αよりも明らかにウシ桿体Gt1αに高い相同性を示した(それぞれ97%と82%)。ノザンブロット解析の結果、Gt2α遺伝子はヒヨコ松果体ではほとんど発現していないことが判明した。一方、ピノプシンに対する特異的抗体を作成し、ヒヨコ松果体切片を免疫染色した結果、濾胞内腔に強い陽性像がみられ、ピノプシンは松果体細胞の外節に局在すると考えられた。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Daisuke Kojima: "Purification and low temperature spectroscopy of gecko visual pigments green and blue." Biochemistry. 34. 1096-1106 (1995)
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[Publications] Kamon Sanada: "Role of heterogeneous N-terminal acylation of recoverin in rhodopsin phosphorylation." J.Biol.Chem.270. 15459-15462 (1995)
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[Publications] Rika Morishita: "Primary structure of a γ subunit of G protein,γ12,and its phosphorylation by protein kinase C." J.Biol.Chem.270. 29469-29475 (1995)
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[Publications] Toshiyuki Okano: "Molecular basis for tetrachromatic color vision." Comp.Biochem.Physiol.112B. 405-414 (1995)
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[Publications] Daisuke Kojima: "Molecular properties of chimerical mutants of Gecko blue and bovine rhodopsin." Biochemistry. (in press). (1996)
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[Publications] Osamu Shono: "Preparation and characterization of monoclonal antibodies specific for lauroylated isoform of bovine transducin α-subunit." J.Neurochem.(in press). (1996)
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[Publications] 深田吉孝: "生物時計の時刻合わせをする脳内タンパク質" 生物の科学 遺伝. 49. 8-9 (1995)
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[Publications] 深田吉孝: "分子レベルにおける生物時計機構の解析" 生化学. 67. 1137-1142 (1995)
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[Publications] 岡野俊行: "脳は光を感じる「第三の目」" ニュートン. 15. 102-107 (1995)
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[Publications] 深田吉孝: "視物質の多様化と視覚の進化" 細胞工学. 14. 1007-1014 (1995)
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[Publications] 岡野俊行: "光受容タンパク質の分子進化" 生物の科学 遺伝. 49. 28-34 (1995)
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[Publications] 深田吉孝: "光受容体の構造と機能調節" 実験医学. 14. 63-67 (1996)
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[Publications] 真田佳門: "シグナル伝達蛋白質における脂質修飾の役割" 膜. (印刷中). (1996)
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[Publications] Kamon Sanada: "Unique lipids and unique propreties of retinal proteins." Behavioral and Brain Sciences. 18. 486-487 (1995)
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[Publications] 深田吉孝: "ピノプシンによる光シグナル伝達と生物時計.Newメディカルサイエンス『細胞内シグナル伝達のしくみ』(印刷中)" 羊土社, (1996)
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[Publications] 深田吉孝: "ニワトリ錐体および桿体視物質の抽出と精製.生物薬科科学実験講座9巻『ホルモン・生理活性物質II』" 廣川書店, 502(378-395) (1996)