1993 Fiscal Year Annual Research Report
低人口増加率を維持するヒト個体群の長期間の生存機構の解明
Project/Area Number |
05454033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 柳太郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (60010071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 勝士 日本赤十字社中央血液センター研究部研究一課, 課長
赤澤 威 東京大学, 総合研究資料館, 教授 (70013753)
中澤 港 東京大学, 医学部(医), 助手 (40251227)
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Keywords | シミュレーション / ヒト個体群 / パプアニューギニア / 長期間人口変動 / 環境収容力 / 遺伝子伝達モデル |
Research Abstract |
シミュレーションモデルを用いたアプローチによってヒト個体群の長期間の生存機構を解明するために、平成5年度は、(1)パプアニューギニアの低地に居住するギデラと呼ばれる人々について既に20年以上にわたって蓄積されてきたデータの整理、(2)長期間の人口変動を環境と遺伝的要素を考慮してシミュレートするモデルのプロトタイプの開発といくつかのパラメータについての検討、の2点を行った。 (1)としては、まず、(ア)系譜人口学の方法で得たデータを用いて個人の人口再生産数の分布、粗出生率、粗死亡率等の人口学的パラメータを推計し、次に、ギデラの居住地が環境条件から4つの村落群に大別できることから、(イ)居住者の血清を用いて抗マラリア抗体価を測定した結果からマラリア感染リスクを村落群別に推定し、(ウ)HLAをはじめとする遺伝特性のデータに基づいて村落群別の遺伝子頻度を推定した。(2)としては、(ア)居住地の中で環境収容力や淘汰圧が異なる地域間で人口増加に伴って人口が移動するモデル、(イ)婚姻関係を考慮した2倍体個体の世代間の遺伝子伝達モデルで生殖モデルとして個体の人口再生産数分布を用いたもの、の二つを構築し、シミュレーションプログラムをC言語で記述した。これは部分的には、分担者の中澤が代表者となっている奨励研究(A)と重なっているが、ギデラのデータに適用するために改変し、本助成金で購入したUNIXワークステーション上で、いくつかのパラメータについて試行した。本格的な運用は平成6年度に行う予定である。
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