1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的変異系統を利用した作物の環境適応の解析的研究
Project/Area Number |
05454044
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅 洋 東北大学, 遺伝生態研究センター, 教授 (00124587)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀幸 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (70179513)
|
Keywords | 重力反応 / 水分屈性 / 根 / オーキシン / カルシウム / ソルビトール / イネ / エンドウ |
Research Abstract |
(1)重力に正常に反応しないイネのもつれ系統と正常な系統を比較しながら、めばえの内生オーキシン含量をしらべた。もつれ系統がまだ重力に反応する吸水44時間目のオーキシン含量は、もつれ系統のほうが正常系統の2.6倍量が検出された。もつれ系統が重力に反応しなくなる吸水後92時間目には、この含量は両系統間にさほぼ差異がなくなった。吸水56及び96時間の芽生えからの幼葉鞘切片のIAAに対する生長反応は、もつれ系統は正常系統に比べて、低濃度域で低く、高濃度域で高い傾向を示し、両系統間にIAAに対する伸長生長反応に差異がある可能性が示唆された。(2)植物の根の水分屈性における、水分勾配感受機構を明かにするために、1mm^2の寒天片に各種濃度のソルビトールあるいはカルシウムを含ませ、それを重力屈性欠損突然変異体のエンドウの根冠あるいは伸長帯の片側に付着させて根の屈曲を調べた。ソルビトールを伸長帯に不均等に処理すると、根は比較的高濃度のソルビトールを含む寒天片側にわづかに屈曲した。一方、根冠処理では、0.5-2Mpaのソルビトール寒天片によって、根はソルビトールとは反対側に屈曲した。この根冠へのソルビトール処理による根の屈曲は、EGTAの前処理によって阻害され、EGTAをカルシウムで置き換えると回復した。また、根冠の片側にカルシウムを含んだ寒天片を与えると、根はソルビトールの場合と同様にカルシウム寒天片とは反対側に大きく屈曲した。このカルシウムによる根の屈曲は、一定のむ水ストレスを前処理として与えることによって促進された。これらの結果から、根の水分屈性は根冠による水ポテンシャル勾配の感受によって生じ、その感受機構にカルシウムが関与するものと考えられる。
|
-
[Publications] Abe,K.,Takahashi,H.,and Suge,H.20GB01:Localization of cells containing sedimented amyloplasts in the shoots of normal and lazy rice seedings.: Biological Sciences in Space. 8. 221-225 (1994)
-
[Publications] Abe,K.,Takahashi,H.,and Suge,H.20GB02:Graviresponding sites in shoots of normal and‘lazy' rice seedlings.: Physiologia plantarum. 92. 371-374 (1994)
-
[Publications] Takahashi,H.: "Hydrotropism and its interaction with gravitropism in roots." Plant and Soil. 167. 301-308 (1994)