1994 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物の適応戦略としての多様性、その生態的意義と遺伝的制御
Project/Area Number |
05454045
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋田 重誠 東京大学, 農学部, 教授 (10251498)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 淳 東京大学, 農学部, 助手 (60221727)
根本 圭介 東京大学, 農学部, 助手 (40211461)
森田 茂紀 東京大学, 農学部, 助教授 (00143404)
|
Keywords | イネ / トウモロコシ / コムギ / 根系 / 節間伸長 / 分枝根 / 品種間差異 / 微小管 |
Research Abstract |
1.生態的特性や遺伝的背景が異なる水稲品種を水田あるいはポットで栽培し、草型および根量の形成過程を個体を構成している形態的単位であるファイトマーに着目して検討した結果、生育に伴うファイトマー数の増加、および個々のファイトマーの大きさの増加の両者における差異を通じて、分げつ数やその構成を含めた茎葉部の形態が異なると同時に、これに伴って根系形態の品種間差異が形成されてくる様相が解明できた。また、個々のファイトマーにおける不定根の形成位置や数にも生態型間で差異が認められ、このことも根系形態の品種間差異に深く係わっていることが明らかになり、遺伝学的な解析もある程度進めることができた。2.トウモロコシにおける突然変異体の茎の生育の問題を蛍光抗体法により微小管の配列を指標として検討した結果、節間伸長に先立つ分裂組織の動態がその後の茎の生育、とくに軸方向への伸長生長に重要な意味を持っていることが新知見として得られた。3.陸稲を異なる土壌水分条件下て栽培し、根系形態をとくに分枝根の形成に着目して解析した結果、根系を構成する種々の要素によって環境に対する反応が異なることが分かってきた。4.同様に、コムギを異なる土壌水分条件で栽培して様々な形態、とくに異なる分枝程度を有する根系形態を作出した後に、充分な灌水を行なったところ、葉面積に対応した吸水能力が発揮された。これは、環境条件に対する植物の可塑性が発現された例であるが、厳しい乾燥条件を経験した場合には充分な吸水能力を回復できないことも確認され、植物の生育における可塑性を通じて適応反応にも限界があることが分かってきた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Abe,J,他: "Growth direction of nodal roots in rice:its variation and contribution to root system formation" Plant and Soil. (印刷中).
-
[Publications] 森田茂紀,他: "土壌水分条件がコムギ幼植物の根の生育、とくに種子根の分枝に及ぼす影響" 日本作物学会紀事. 63. 418-422 (1994)
-
[Publications] 森田茂紀,他: "圃場で栽培したコムギの種子根および節根の生長および分枝根形成" 日本作物学会紀事. 64(印刷中). (1995)
-
[Publications] 森田茂紀,他: "イネ根系形態の解析-成熟期における品種間比較-" 日本作物学会紀事. 64(印刷中). (1995)
-
[Publications] Nemoto,K.,他: "Shoct and root development in rice related to the phyllochorn." Crop Science. 87(印刷中). (1995)
-
[Publications] 森田茂紀,他編: "根ハンドブック" 根研究会, 232 (1994)
-
[Publications] Morita,S.,他(分担): "Biology of Adventitious Root Formation" Davis.T.D.and B.E.Haissig, 315 (1994)