1993 Fiscal Year Annual Research Report
光合成過程における化学エネルギーの生産消費からみたCO_2固定反応調節機構
Project/Area Number |
05454049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
窪田 文武 九州大学, 農学部, 助教授 (50136602)
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Keywords | 光合成 / 間欠光照射 / C_3植物 / C_4植物 / RuBPカルボキシラーゼ / RuBPオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
本研究は、光合成過程における化学エネルギー生産と消費のソース・シンク関係に着目して、CO_2固定反応の調節機能を解明し、光合成のエネルギー利用効率向上についての基礎的資料を得ることを目的とする。本年度(初年度)は、第一段階として暗反応の初期過程を司るルビスコのCO_2個定系と光呼吸系の相対活性をガス代謝測定によって解析した。異なる光合成系を持つトウモロコシ(C4型植物)とカンショ(C3型植物)を使用し、種々の光強度条件や異なるO_2、CO_2濃度条件下で回転セクタによる光合成速度の測定を行った。測定に際して本年度購入した携帯型光合成蒸散測定装置を使用した。また、測定後の植物サンプルを超低温フリーザ(本年度購入)に貯蔵し、ルビスコ活性の測定に使用した。得られた結果は日本作物学会記事(論文1編と講演2編)に公表した。概要を以下に述べる。 間欠照射下の光合成速度測定値を見ると、トウモロコシに比較して、カンショは、O_2濃度、CO_2濃度および光強度条件によって光利用効率が大きく変化する特徴が認められた。ここでは、これは環境条件に対するRuBPCase活性(RC)とRuBPOase活性(RO)の反応特性の差によって生じた現象と判断し、解析を進めた。その結果、カンショにおいては、CO_2濃度がRCに及ぼす影響は小さかったのに対し、ROは強い影響を受け、CO_2濃度の増加にもとなって低下し、しかも低光強度でその影響が大きくなった。弱光域ではカンショのRCとROはともに低下したが、前者の活性低下率が大きく、その結果RCに対するROの相対活性が高くなった。光強度に対する生葉内のROとRCの反応が異なる事実は、ルビスコの特性を解明する上で、また、個葉の光合成能力、光利用効率の支配要因を明確にする上で重要なポイントである。トウモロコシではRCに対するROの相対活性が非常に低く、一般に知られているようにみかけ上光呼吸は認められなかった。 以上のように様々な環境条件に対する光合成速度反応から生葉内のCO_2固定系と光呼吸系の相対活性を推定することができた。来年度は、生化学的手法からのアプローチも試み、より深い解析を行う予定である。
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[Publications] 窪田文武: "Photusyntetic Contnl Foctors in a Single Lesf of Sueet Potota,IpomoeaBatatas Lam,3" 日本作物学会紀事. 63. 89-95 (1994)
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[Publications] 名田和義: "RuBPOaseとRuBPCase活性比率の変化が間欠照射下の光合成に及ぼす影響" 日本作物学会紀事. 62(別2). 91-92 (1993)
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[Publications] 名田和義: "間欠照射下の光合成におよぼすCO_2固定系と光呼吸系の相対活性の影響-カンショ(C_3植物)とトウモロコシ(C_4植物)についての比較-" 日本作物学会紀事. 63(別1)(未定). (1994)