1993 Fiscal Year Annual Research Report
園芸作物における光合成産物の果実への転流及び代謝に関する研究
Project/Area Number |
05454051
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
元村 佳恵 弘前大学, 農学部, 教授 (50005609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 修 弘前大学, 農学部, 助教授 (70184265)
加藤 陽治 弘前大学, 教育学部, 助教授 (20194863)
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Keywords | 光合成産物 / 転流物質 / 転流経路 |
Research Abstract |
1、リンゴの8品種について果実中の糖類とソルビトールの組成を調査した結果、可溶性糖中でのソルビトールの割合は、アルプス乙女と千秋で高く、ふじとあきふがこれに次ぎ、つがる、紅玉、ジョナゴールド、むつで低かった。また、単位新鮮重あたりのソルビトールの量は果実の成熟が進むにつれて増加した。転流物組織における糖類の組成についても品種間差が見られた。 2、ブドウの葉から果実への光合成産物の転流には葉序列の影響が明らかに見られることから、葉と果実が着生している茎の維管束走行を顕微鏡で観察した。その結果、新梢の先端部に近い節では、葉柄の両側から左右2本ずつ合計4本の維管束が、新梢の中間部では左右3本ずつ合計6本の維管束が茎に連絡しているのが見られた。新梢の基部の節では葉柄から茎へ連絡する維管束の数が増加し、片側4本合計8本の維管束が連絡している節や、片側5本合計10本の維管束が連絡している節が見られた。また片側3本反対側2本合計5本のように左右の数が異なる節も見られた。葉柄から茎へ連絡した維管束は茎中を基部方向へ直進し、下位の節へ伸びていた。すなわち、葉柄から茎へ連絡する維管束の数は、新梢の先端部から基部に向かって増加する傾向が見られたが、新梢の成長が進むにつれて、基部の節において維管束の数が増大する傾向が見られた。 3、果房は葉と対生しているが、葉柄と同様に果軸の維管束が左右から茎へ連絡していた。果房から茎へ連絡している維管束の数は、対生している葉の葉柄から茎へ連絡している維管束数よりも少なかった。果房が着生している節が基部に近いほど、果房から茎に連絡する維管束の数は増加し、また、同じ節でも新梢が成長するにつれて維管束の数が増加する傾向が見られた。 4、果房と同列で果房よりも先端部に近い葉の葉柄から茎へ連絡している維管束と、果房から茎へ連絡している維管束は、茎中で直接連絡することはなく、上部の葉の維管束は果房の維管束よりも木部に近い部位を進み次第に接近しているように見えたが、結合しているかどうかは明かではなかった。
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[Publications] 荒川修: "リンゴ果実の成熟に伴う糖組成の変化" 園芸学会雑誌. 62別2. 166-167 (1993)
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[Publications] 荒川修、北村龍男: "紫外線(UV-B)がリンゴ実生の成長に及ぼす影響" 園芸学会雑誌. 62別1. 114-115 (1993)
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[Publications] 元村佳恵、荒木春美 他: "セイヨウナシの追熟における細胞壁成分変化の品種間差異" 園芸学会雑誌. 62別2. 604-605 (1993)
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[Publications] 元村佳恵、荒木春美 他: "セイヨウナシ ラ フランスの追熟温度が肉質及び細胞壁成分に及ぼす影響" 園芸学会雑誌. 62別1. 474-475 (1993)
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[Publications] 加藤陽治: "水不溶性食物繊維のグルコースのin vitroにおける拡散速度に与える影響" 日本栄養食糧学会誌. 46. 351-355 (1993)
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[Publications] Kato,Y.and T.Watanabe: "Isolation and characterization of xyloglucan from Gobo(Actim lappa L.)" Biosci.Biotech.Biochem.57. 1591-1592 (1993)