Research Abstract |
ネギ属の種間交雑を行う場合,通常の交配法ではその和合性が低いため雑種の獲得は困難であるが,花梗基部より切り離した切花に対し花柱引抜き受粉を加え,更にその後胚救済を組合わせることにより,雑種の獲得率が格段に向上することを明らかにした。現在本法により9交配組合わせて,三元雑種を含む約170個体の種間雑種の獲得に成功している。またこのような雑種をえた場合,その急速増殖,ウイルスに汚染された場合はその除去,更には雑種の不稔性解消のための染色体の倍化などが問題となる。そこで原種6種を供試して組織培養についても検討し,花蕾小花梗などの初代及び継代培養で種間によって大きな差異はあるものの,すべての種でシュートの誘導に成功した。染色体の倍化には原基の小さい多芽体に対するコルヒチン(コルセミド)処理が望ましいので,目下その誘導に対する諸条件の解明に研究の重点を移しつつあるところである。 一方PCRによる遺伝子の増幅と,これにRAPD法を組合わせたDNA多型分析については,次の諸点を明らかにした。(1)HEPES等の洗浄による夾雑物の除去をすると,迅速簡便なSDS法でも質量ともに充分なDNAの抽出が可能であった。(2)PCRによる増幅については各種条件の比較検討から変性は94℃1分間,アニーリングは45℃1分間,増幅量は20〜50mgが最もよかった。(3)以上の条件設定をした後,原種5種,種間雑種2系統の7検体につき14種のプライマーを用いて種特異的RAPD多型を調査し,6種のプライマーが有効,なかでもD_<20>,G_<17>,G_<19>の3種が特に有効であること,またニラTender PoleではDキットの20種のプライマーのうち,5,7,8,9,11,13,15,16,18及び20の10種類で増幅がみられることが判明した。現在このような手法で研究を深めつつあるところである。
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