1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川那辺 三郎 京都大学, 農学部, 教授 (10026396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 典和 京都大学, 農学部, 助手 (20202385)
安藤 信 京都大学, 農学部, 講師 (00133132)
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Keywords | 林縁構造 / 光環境 / 下層植生 |
Research Abstract |
林縁付近の光環境と下層の植生や高木種の更新状況との関係を明らかにするため,平成5年度では,主に京都大学演習林でスギ人工林(芦生演習林),ヒノキの人工林(徳山試験地),落葉広葉樹二次林(芦生演習林)およびモミ・ツガ天然林(和歌山演習)などの林分構造の異なった林縁の構造や光環境と下層植生を調査し,林縁の影響について検討した。得られた主な成果は下記のとおりである。 1)人工林で,林縁が成立してから充分時間の経過した林縁付近の胸高断面積合計は,林内の値に比べて多くなる。このことは,林縁付近の個体の成長が林内より大きいことを現し,葉の純同化率の増大とともに葉量の増加もその一因であると考えられる。 2)林縁付近の林内の光環境に及ぼす林縁の影響は,林縁の構造によって異なり,影響の範囲がきわめて少ないものから,上層木の樹高程度までの場合が多く,最大でも樹高の約1.5倍までであった。しかし,この影響の範囲については,林縁の構造の他に,林縁の方位,傾斜,太陽高度,天候などの影響を受けると考えられるので,より広範囲の調査が必要である。 3)下層の木本植物の種数や本数密度と林縁からの距離には一定の傾向が見いだせなかったが,地際断面積合計は林内への距離の増大とともに減少し,相対照度の変化によく対応している。 4)本研究で購入したLAI-2000による葉面積指数の測定により,林縁付近の上層木と下層植生の葉面積指数が,互いに関連し林内に向かって変化すると思われ,下層植生の下部の相対照度との関連など興味ある結果が見いだされたが,なお多くの調査による確認が必要であると考えられた。
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