1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 譲 東京大学, 農学部, 助教授 (40107412)
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Keywords | 魚類 / 皮膚 / レクチン / 免疫 / 生体防御 / ナマズ |
Research Abstract |
(1)インドネシア産ナマズ Clarias batrachusの皮膚粘液中に、ウサギ赤血球に対して強い凝集活性を示す,N-アセチルノイラミン酸特異的なレクチンが存在する。ナマズに Aeromonas hydrophylaを接種し,その後のレクチンレベルを赤血球凝集価により測定したところ,直接皮膚への感染は認められないにもかかわらず,その活性が著しく上昇することが分かった。あらかじめ菌体を接種し,免疫しておいた魚では,感染が成立せず,レクチン価の上昇も認められなかった。皮膚粘液レクチンの精製は失活が著しいためまだ完成していないが,凝集したウサギ血球をウサギに接種したことにより得られた抗体によりレクチンの分析が可能となった。ウェスタンブロッティング分析によれば,レクチンは比較的低分子の複数の分子からなることが分かった。レクチン活性は皮膚以外に,血漿,肝臓,卵などにも認められた。ウェスタンブロッティングの結果,卵中には皮膚のレクチンと同じ抗原性をもつ物質が存在し,抗体により活性の阻害が起こることから,卵のレクチンと皮膚のレクチンが共通の構造をもつものであることが示唆された。 (2)皮膚には免疫グロブリンも存在する。ナマズにビブリオワクチンを腹腔内接種したところ,血中の抗体価上昇が見られたが,皮膚粘液中の抗体価は変化せず,皮膚に存在する免疫グロブリンは,体内のものとは独立した免疫系に属すものであることが示唆された。
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