1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454091
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
大和田 紘一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30013585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 昌彦 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10242174)
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10161895)
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Keywords | メタン / メタン生成細菌 / 海洋 / 動物プランクトン / 腸内 / オキアミ / fecal pellet |
Research Abstract |
メタンは地球温暖化ガスとして近年問題となっているが、それによって引き起こされる温室効果は同体積の二酸化炭素の約11倍といわれる。その効果は地球全体としてみた場合に二酸化炭素についで重要な温室効果ガスである。メタンの生成には火山、天然ガス等の地球化学的要因も知られているが、その大部分が地球上の有機物分解の最終生成物としてメタン生成細菌によって生成されている。このメタン生成細菌の活性の中で今年は動物プランクトンの腸内でのメタンの生成について、研究船上で試料を採取後直ちに研究を行った。 淡青丸(KT-93-13航海)および、白鳳丸(KH-93-1航海)による研究航海の際に動物プランクトン試料をネット採集し、メタン生成活性の測定を行った。白鳳丸研究航海では、動物プランクトンの中でも特に生物量の多いカイアシ類とオキアミ類およびそのfecal pelletについてメタン生成活性を測定したが、オキアミ類およびそのfecal pelletからのみメタン生成が認められた。特に、オキアミ類約30個体のfecal peletからは1.8μmolのメタン生成が測定され、メタン生成細菌がオキアミ類の腸内に存在していることが示唆された。さらに淡青丸研究航海では、60日間培養した動物プランクトンからのメタン生成量は動物プランクトン乾燥重量1gあたり615μmolにもなった。また、そのメタン生成細菌はメタノールを利用できるものが多かったが、硫酸還元菌の活性を抑えるとメタンの生成量が減少することから、動物プランクトン腸内ではメタン生成細菌は基質に関して硫酸還元菌に依存していることが示唆された。
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