1993 Fiscal Year Annual Research Report
海水魚用新型ドライペレット脂質レベルと生体内脂質過酸化防止に関する研究
Project/Area Number |
05454097
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村田 寿 宮崎大学, 農学部, 教授 (60041018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 助手 (20240294)
山内 清 宮崎大学, 農学部, 教授 (90040865)
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Keywords | ブリ / ソフトドライペレット / 生体内脂質過酸化 / グルタチオンペルオキシダーゼ / TBA値 |
Research Abstract |
近年、海面養殖の現場では、漁場の自家汚染防止や健康で高品質の養殖魚生産のためだけにとどまらず、マイワシ資源の低下からも、生餌に代わる飼料の開発が望まれている。ごく最近、渡辺らの開発した軟質固形飼料のソフトドライペッレットは、カロリー源として、多量の魚油が添加されているために、酸化されやすい高度不飽和脂肪酸も多く含まれている。したがって、ソフトドライペッレットを給与された魚は、生体内脂質過酸化を受けやすいのではないかと考えられる。そこで、ソフトドライペッレット中の脂質源として魚油の一部を不飽和度の低い植物油に代えて、不飽和度の異なる飼料でブリを飼育し、成長並び生体内脂質過酸化とその防御機構の変動について調べた。 魚粉を蛋白資源とした飼料素材をエクストルダー処理後、脂質源として、魚油(1区)、魚油とパーム油1:1混合油(2区)および1;2混合油(3区)をそれぞれ外割で14%添加し、3種類の飼料を調製した。これらのソフトドライペッレットを給与してブリを2カ月間飼育後、血液性状、血漿および肝臓の2-チオバルビツール酸(TBA)値およびグルタチオンペルオキダーゼ(GSH-Px)活性を測定した。 その結果、3区では、1,2区に比べて成長が劣ったが、血漿GOT,GPT活性は、1区に比べて低く、肝機能が向上した。血漿および肝臓中の脂肪酸および脂質量、並びにPUFA≧18;2omega6量は、飼料中の不飽和度に比例し、1区が最も高く、3区が最も低かった。他方、血漿中のTBA値は不飽和度の最も低い3区で最も低く、最も高い1区で最も高く、飼料脂質の不飽和度を低下することにより、生体内脂質過酸化を効果的に抑制できた。血漿GSH-Pxには顕著な差は認められなかった。一方、肝臓中のTBA値は、1区で最も高かったが、いずれの区も0.14〜0.28MAmug/gの低い値であった。また、GSH-Pxは、1区で最も高く、肝臓中の生体内脂質過酸化抑制のために誘導化されたと考えられる。
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