1995 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉細胞の生後発育に対するGHRH並びにGHの作用機構
Project/Area Number |
05454119
|
Research Institution | OSAKA PREFECTUERE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐々木 文彦 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60064862)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山手 丈至 大阪府立大学, 農学部, 講師 (50150115)
木曽 康郎 大阪府立大学, 農学部, 講師 (10142374)
太田 光明 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (20134504)
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
|
Keywords | 視床下部 / 下垂体前葉 / GHRHニューロン / GH細胞 / PRL細胞 / 成長障害 |
Research Abstract |
出生の日から1週間グルタミン酸ソーダを投与した成熟雄マウスでは、視床下部弓状核の成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)細胞と黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)細胞は消失し、下垂体前葉のGH細胞とLH細胞の数と容積の減少が見られ、発育障害並びに精巣の縮小が見られた(Sasaki et al.1994)。 本年度は次の4群で各群5匹からなる実験を終了した。上述の様に出生の日から一週間グルタミン酸ソーダを投与した群(G群)と同量の生理食塩水を投与した対照群(C群)の2群に分けた。さらに、G群のマウスを30〜56日目の間、hGH(0.0241U/gBW)を毎日1回皮下投与したGG群と同期間、同量の蒸留水を投与したGW群の2群に分類した。C群も同様にhGHを投与したCG群と蒸留水を投与したCW群の2群に分類した。全てのマウスを57日齢でと殺し、下垂体と精巣は10%中性ホルマリンで、視床下部はブアンの液で固定後、常法に従い、パラフィン包埋した。下垂体は、7μmの連続切片とし、GH,LH,プロラクチン(PRL)抗体で免疫染色し、2次元解析装置(Cosmozone-1SB,Nikon)を使用して絶対数と容積を計測した。視床下部はGHRHとLHRH抗体で免疫染色し、その数の変化を観察した。精巣はその機能相を観察した。弓状核が破壊された(GHRH細胞は消失している)GW群の体重は破壊のないCW群より有意に減少し、hGHの投与により両群の体重は有意に増加した。hGH投与により下垂体のGH細胞数は、GG群とGW群では差はないが、CG群ではCW群より有意に増加した。一方、GH細胞の体積は、hGHの投与によりGG群の方がGW群より有意に大きくなったが、GC群とCW群では差はなかった。この様に、hGHによる生後発育中の体重増加は、弓状核が正常のC群の場合は、下垂体のGH細胞の細胞数が増殖する事により、また、弓状核が破壊されたG群では個々のGH細胞の機能の増加により体重が増加したと考えられる。すなわち、hGHは、視床下部のGHRHを介してGH細胞の増殖を行い、GH細胞に直接作用して機能を高揚すると思われる。精巣重量は、GW群の方がCW群より有意に小さい。しかし、hGH投与しても下垂体のLH細胞と精巣重量には変化はなく、hGHは精巣の生後発育過程の重量増加には関係していないと考えられる。
|