1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亘 敏広 東京大学, 農学部, 助手 (50220950)
辻本 元 東京大学, 農学部, 助教授 (60163804)
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Keywords | レンチウイルス / ネコ免疫不全ウイルス / レセプター / エンベロープ / エイズ |
Research Abstract |
動物にはネコ免疫不全ウイルス(FIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)など多くのレンチウイルス感染症が認められ、免疫不全症、脳炎、造血障害など様々な病態が認められる。これら動物レンチウイルス感染症の病理発生を解明するためには、ウイルスエンベロープとウイルスレセプターとの相互作用を検討することが重要である。 本年度は、FIV env遺伝子の多様性と病原性との関連に重点を置いて研究を行った。はじめに、脳炎のため著明な強直性痙攣を示したFIV自然感染ネコの大脳、リンパ節、骨髄の各組織DNAからnestedPCR法によってFIVプロウイルスenv遺伝子(V3-V6領域)を増幅し、その塩基配列(896bp)を決定した。各臓器から得られた合計15クローンを比較したところ、ほぼ均一なウイルスが得られ、この症例においては単一のpopulationのウイルスが各臓器に感染、増殖していることが示された。また、本例由来ウイルス(JN-BR1株)は、これまでの日本の分離株(TM2株)とは低い相同性しか示さず、系統解析においては神経病原性が示唆されているPetaluma株と近縁な関係にあることが注目された。つぎに、著しい骨髄抑制を示したFIV自然感染ネコの大脳、リンパ節、骨髄から、同様の方法によってFIV env遺伝子を増幅し、その塩基配列を解析した。本例の各臓器由来の16クローンの間には著しい遺伝的多様性が認められ、そのアミノ酸配列は最大11.1%の変異を示していた。また、これら16クローンのうち5クローンには、V3およびV5領域にin-frame stop codonが存在しており、replication defectiveであることが明らかになり、その病原性との関連が示唆された。さらに、本例由来ウイルス(PTH-BM3株)は、TM2株が属するsubtypeBではなく、病原性が見出されるsubtypeAに属するウイルスであることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ohno,K.: "Induction of apoptosis in a Tlymphoblastoid cell line infected with feline immunodeficiency virus." Archives of Virology. 135. 153-158 (1994)
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[Publications] Okuda,M.: "Cloning of feline p53 tumor suppressor gene and its aberration in hematopoietic tumors." International Journal of Cancer. 58. 602-607 (1994)
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[Publications] Takano,M.: "Identification of a dog T-cell receptor beta chain genes." Immunogenetics. 40. 246 (1994)
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[Publications] Youn,H.-Y.: "Two forms of the mb-1 gene transcripts in cattle." Journal of Immunology. 153. 5127-5132 (1994)
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[Publications] Tsatsanis,C.: "Genetic determinants of feline leukemia virus-induced lymphoid tumors:patterns of proviral insertion and gene rearrangement." Journal of Virology. 68. 8296-8303 (1994)
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[Publications] Kato,H.: "Molecular cloning of equine interleukin-1 alpha and beta cDNAs." Veterinary Immunology and Immunopathology. (In press). (1995)