1993 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物受精卵に於けるCa波とCa振動のメカニズムに関する生理学的研究
Project/Area Number |
05454141
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
宮崎 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80010081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 浩一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50256476)
白川 英樹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40241070)
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Keywords | 哺乳動物卵 / 受精 / カルシウムイオン / イノシトール3リン酸 / イノシトール4リン酸 / カルシウム波 / カルシウム振動 / カルシウム画像解析 |
Research Abstract |
ハムスターの体外受精系に於て、精子-卵結合のシグナル伝達機構と、卵細胞内カルシウムイオン(Ca)の時間的・空間的シグナルをCa画像解析システムを用いて解析し、以下の結果を得た。 1.卵細胞膜の精子レセプターについて マウス精子表面には主要組織適合性抗原MHCクラスIIが存在し、一方卵表面にはTリンパ球の補助分子CD4が存在する。しかし抗CD4抗体によって卵を刺激してもCa増加反応は発生せず、また抗体前投与によって精子-卵結合は阻止できなかった。細胞結合には他の因子の共同作用が必要であると結論された。 2.精子-卵結合のシグナル伝達機構について 精子-卵結合からCa増加反応に至るシグナル伝達経路にチロシンキナーゼ(TK)の関与を想定し、ハムスター卵及び卵巣のpoly RNAからPCR法によってcDNAを増幅しクローニングを行った結果、src familyに属するp56^<lck>が同定された。このプローブを用いて、mRNAの発現をin-situ hybridization で、TK蛋白の発現を免疫組織化学法で観察しつつある。また受精時のCa増加反応がTKインヒビターによって抑制されるか否かを観察したが、明らかな抑制は得られていない。 3.共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡(CLSM)を用いたCa波の画像解析について 共同利用機器であるCLSMを用いて、精子結合部位から発生する伝播性のCa増加(Ca波)が卵表層だけでなく、深部細胞質及び核でも起こることを明らかにした。 4.Ca振動を維持するCa流入経路について 我々は哺乳動物受精卵が周期的なCa増加(Ca振動)をおこすと、個々の増加反応はイノシトール3リン酸(IP_3)による細胞内Ca貯蔵器官(Caストア)からのCa遊離によることを既に明らかにしている。さらにCaストアを再度充填するために細胞外からのCa流入が必要であることがわかった。本研究では、イノシトール4リン酸(IP_4)を卵内に微量注入し、細胞内Ca増加を記録しそれがCa流入によることを明らかにした。これにより、二つのイノシトールリン酸がCa流入とCa遊離を制御するモデルが想定できた。
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[Publications] Shirakawa,H.et al.: "Activation of calcium influx pathway by inositol 1,3,4,5-tetiakisphosphate in bamster eggs." Japanese Jovrxal of Physiology. 43. S41- (1993)
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[Publications] Miyazaki,S.et al.: "Essentiolrole of the inositol 1,4,5-trisphosphate receptor/Ca^<2+> release channel in Ca^<2+> waves and Ca^<2+> oscilations at fertilization of mammalian eggs." Developmental Biology. 158. 62-78 (1993)
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[Publications] Miyazaki,S.: "IP_3-mediated spatial and temporal Ca^<2+> signaling of the cell." Japanese Journal of Physiology. 43. 409-434 (1993)
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[Publications] Miyazaki,S.et al: "Ca^<2+>-induced Ca^<2+> release mediated by the IP_3 receptor is respovsifle for Ca^<2+> waves and Ca^<2+> oscielations at fortilization of mammalian eggs." Biomedical Research. 14. 35-38 (1993)
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[Publications] 宮崎俊一: "Ca^<2+>動員、Ca^<2+>波、Ca^<2+>振動とIP_3受容体" 実験医学. 11. 184-190 (1993)
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[Publications] 宮崎俊一: "受精におけるCa^<2+>の動態" 細胞. 25. 485-491 (1993)
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[Publications] 宮崎俊一他: "精子-卵相互作用のシグナル伝達メカニズム" 生体の科学. 45. 79-90 (1994)
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[Publications] 宮崎俊一: "Annual Reriew 細胞生物学1993" 矢原一郎等編、中外医学社, 349 (1993)
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[Publications] 宮崎俊一: "カルシウムのシグナル伝達機構" 小島至編 中外医学社, 201 (1993)
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[Publications] 宮崎俊一他: "イオンチャネル2" 東田陽博編 メジカルレビュー社, 198 (1993)