1994 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス・脳-免疫系修飾における脳内サイトカインおよび自律神経系の役割
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05454143
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 講師 (80177401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟生 修司 九州大学, 医学部, 助教授 (40150908)
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Keywords | 第3脳室壁前腹側領域 / CRF / 内側視索前野 / 視床下部室傍核 / ナチュラルキラー細胞活性 / 脾臓交感神経 / スライスパッチ法 / NMDA応答電流 |
Research Abstract |
末梢サイトカインによる情報の中枢神経系情報への変換機構 ラットにおいて、血中に投与したIL-1βが、内側視索前野(MPO)および室傍核(PVN)へ軸索を送る第3脳室壁前腹側領域(AV3V)ニューロンの活動をプロスタグランディン依存性に修飾することはすでに明らかにしたが、さらに、HRP-WGAを用いて解剖学的にAV3VからMPOおよびPVNへの直接投射を証明した。 2.自律神経系を介する中枢性免疫制御機構の脳内機序 脳室内IL-1βの投与による脾臓交感神経活動の上昇が、CRFのアンタゴニストであるαヘリカルCRFの前投与によって完全に阻害されることを明らかにした。PGE2の脳室内投与によっても脾臓交感神経の活動は上昇するが、その活動上昇はαヘリカルCRFによってブロックされた。一方、CRFの脳室内投与でも脾臓交感神経の活動は上昇したが、サリチル酸の前投与ではブロックされなかった。CRFを脳室内に投与すると、脾臓NK細胞活性が低下するが、その作用部位としては、脾臓NK細胞活性および脾臓交感神経活動を指標とした微量注入実験により、MPOではなくPVNがより有効であった。すなわち、脳内PGE2→CRF系→PVNへの作用→脾臓交感神経系→脾臓NK細胞活性の制御というシステムの存在が明らかになった。 3.脳内サイトカインの中枢神経細胞に対する作用機序 MPOを含むスライス標本を用いてパッチクランプを行い、NMDAによって誘発される内向き電流が、IFNαの同時投与によって1時間以上にわたって抑制されることを明らかにした。そのメカニズムとして、ニューロンのオピオイド受容の活性化、およびおそらくIFNαのグリア細胞への作用による活性酸素や一酸化窒素産生の関与が考えられた。 4.中枢性免疫機能の制御 視床下部腹内側核を両側破壊すると過食および肥満が生じるが、破壊後4日目の急性期では脾臓NK細胞活性が低下し、ところが4週以降の慢性期においては脾臓NK細胞活性はむしろ増強することを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Take,S.et al.: "Interferon-α acts at the preoptic hypothalamus to reduce natural keller cytotoxicity in rats." American Journal of Physiology. (印刷中). (1995)
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[Publications] Katafuchi,T.et al.: "The biphasic changes in splenic natural killer cell activity following ventromedial hypothalamic lesions in rats." Brain Research. 652. 164-168 (1994)
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[Publications] Ichijo,T.et al.: "Central administration of interleukin-1β enhances splenic sympathetic nerve activity in rats." Brain Research Bulletin. 34. 547-563 (1994)
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[Publications] 片渕 俊彦,堀 哲郎: "生理活性物質の生理学" 臨床検査. 8. 20-24 (1994)
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[Publications] 片渕 俊彦: "視床下部-交感神経系による免疫系の制御" ブレインサイエンス. 5. 381-387 (1994)
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[Publications] 片渕 俊彦: "第五章 脳から免疫系への通信(2)「脳と免疫」" 共立出版(堀 哲郎編),(印刷中), (1995)
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[Publications] 片渕 俊彦,堀 哲郎: "脳-免疫系連関,脳機能の解明-分子から病態まで-" 創風社(赤池 紀扶,小暮 久也編), 286 (1995)