1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける薬物反応性・代謝の個人差、人種差の解析:遺伝子診断からのアプローチ
Project/Area Number |
05454153
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40112685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安盛 俊雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70182350)
永田 清 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80189133)
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Keywords | 薬物反応性 / 薬物代謝 / 個人差 / 人種差 / 薬理遺伝学 / チトクロームP450 / メフェニトイン / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
ヒトにおける薬物反応性・代謝の個人差、人種差を遺伝子より解析することを目的として、平成5年度は健康志願者にメフェニトインを投与して代謝能の高い人(extensive metabolizer:EM)と代謝能の低い人(poor metabolizer:PM)を同定した。また集積された肝臓のサンプルより調製されたミクロソームを用いて、メフェニトイン水酸化活性を測定し、サンプルがEM由来であるかPM由来であるかを判定した。さらに健康志願者の血液と肝臓のサンプルより各々ゲノムDNAを調製し、以下に示す結果および知見が得られた。1)7人の健康志願者にメフェニトインを投与し、その未変化体の尿中排泄動態を調べたところ6例はS-体の代謝がR体より著しく速く、1例はS-体の代謝はR-体の代謝と同程度に遅かった。従って6例がEM、1例がPMと判定された。2)12例の日本人の肝よりミクロソームを調製し、それらを用いてR-,S-メフェニトイン水酸化活性を測定したところ12例のうち生成したメフェニトイン水酸化体のR/S比が0.3以下が9例、0.3以上が3例であった。従って9例がEM、3例がPMと判定された。3)9例の肝臓(EM7例、PM2例)および2人の健康志願者(EM1人、PM2人)より常法に従ってゲノムDNAを調製し、それをテンプレートとしてメフェニトイン水酸化酵素CYP2C9、2C18のDNAのExon7が増幅されるようにPCR反応をおこなった。またPCR反応で得られたDNAより塩基配列決定用のDNAを調製した。以上、平成5年度研究計画については目標をほぼ順調に達成しており、平成6年度には残るExon領域と5-非翻訳領域のDNAの解析を進め、EMとPMおけるCYP2C9、2C18の塩基配列の差異を同定してPMにおけるこれらの酵素の実体を明らかにする予定にしている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 加藤隆一: "総説創薬における薬理学の役割薬物代謝研究の医薬品開発における役割" 日薬理誌. 102. 245-252 (1993)
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[Publications] T.Yosumori,et al.: "Cytochrome P450 mediated metabolism of diazepam in human and rat:involvement of human CYP2C in N-demethylation in the substrate concentration-dependent manner." Pharmacogenetics. 3. 291-301 (1993)
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[Publications] K.Nagata,et al.: "Isolation and expression of a cDNA encoding a male-specific rat sulfotransferase that catalyzes activation of N-hydroxy-2-acetylaminofluorene." J.Biol.chem.268. 24720-24725 (1993)
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[Publications] 加藤隆一、他: "毒性試験動物代替法" 螢光堂, 220 (1993)