1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達に於けるコリン燐脂質代謝回転とプロテインキナーゼCの共役機構の解析
Project/Area Number |
05454159
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 俊一 神戸大学, 医学部, 助教授 (40155833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 浩司 神戸大学, 医学部, 助手 (60204103)
浅岡 良則 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助教授 (20222565)
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Keywords | プロテイン・キナーゼC / ジアシルグリセロール / ホスホリパーゼD / コリン燐脂質 / G蛋白質 / ホルボルエステル |
Research Abstract |
数多くの外界シグナルが、イノシトール燐脂質の代謝回転を介する情報伝達系により細胞に伝えられ、細胞機能の調節に重要な役割を演じていることが古くから知られている。最近では、多くの生理活性物質によりイノシトール燐脂質のみならず、コリン燐脂質の代謝回転も亢進することが種々の細胞系で証明されつつある。コリン燐脂質代謝により持続的に産生されるジアシルグリセロールによるプロテイン・キナーゼCの長期活性化が、細胞分化、増殖、癌化を始めとする細胞の長期効果に重要であると考えられているが、このジアシルグリセロールの分子レベルでの産生調説機構には現在尚不明な点が多い。平成5年度は、プロテイン・キナーゼCによるコリン燐脂質代謝回転の調節機構と、持続的プロテイン・キナーゼCの活性化機構解明に主力を向け、研究を行ってきた。そこでまず初めにコリン燐脂質代謝に於ける重要な酵素と位置付けられている、ホスホリパーゼDのプロテイン・キナーゼCによる調節機構について解析を行った。ヒト白血病由来HL-60細胞に於いて、プロテイン・キナーゼCの活性化剤であるTPAをもちいてホスホリパーゼDの活性を測定したところ、TPA濃度依存性にホスホリパーゼDの顕著な活性化を認めた。更に分子レベルでこの活性化機構を解明する目的で、細菌毒素ストレプトリジンOを用いて細胞膜透過性細胞を作成し解析した結果、上記のTPAの効果には、GTP_γSが必須であり、ホスホリパーゼDの活性調節には、G蛋白質とプロテイン・キナーゼCによる蛋白質燐酸化反応が密接に関与していることが明らかとなった。現在、これらの反応に関与するG蛋白質ならびにホスホリパーゼDの精製が進行しており、精製酵素を用いた反応系により、プロテイン・キナーゼCによるホスホリパーゼDの分子レベルでの活性調節機構を明らかにしてゆきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Nakamura: "Protein kinase C for cell signaling:a possible link between phospholipases" Adv.Second Messenger and Phosphoprotein Res. 28. 171-178 (1993)
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[Publications] Y.Asaoka: "Intracellular signalling by phospholipid hydrolysis and protein kinase C activation" Biomedical Res.14. 93-98 (1993)
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[Publications] S.Nakamura: "Lipid mediators and protein kinase C activation for intracellular signaling network" J.Biochem.in press.