1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の分化とプログラム死におけるポリ(ADP-リボシル)化反応の役割に関する研究
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05454169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 國寛 京都大学, 医学部, 助教授 (00027070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 隆宏 京都大学, 医療技術短期大学部, 助手 (60234308)
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Keywords | ポリ(ADP-リボース)シンテターゼ / 阻害剤 / 賦活剤 / ヘテロサイクリックアミン / ベスナリノン / テラトカルシノーマ細胞 / 分化誘導 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.ポリ(ADP-リボース)シンテターゼの阻害剤の解析 数年来進めてきた標記阻害剤のスクリーニングに、今回さらに数十種目を追加した。その結果新たに、蛋白質の熱分解で生じるヘテロサイクリックアミンの多くが阻害作用をもつことを見出した。そのなかで最も強力だったのはTrp-P-1で(IC_<50>=0.22mM)、Trp-P-2とMeAαCがこれに次ぐ効果を示した。また、市販の強心薬ベスナリノンとその誘導体に中等度の強さの阻害作用を見出した。既に阻害剤として報告したジメチルスルホキシド(DMSO)についても、その後、自身の阻害作用のほかに、他の阻害剤の効果を相対的に弱める作用をもつことを見出した。 2.ポリ(ADP-リボース)シンテターゼの賦活剤の解析 先年報告したTrp-P-2の低濃度における賦活作用と類似の作用を、ヘテロサイクリックアミンほか多数の複素環および芳香族阻害剤について調査し、これがTrp-P-2に極めて特異な性質であることを明かにした。 3.ポリ(ADP-リボース)シンテターゼ阻害剤による腫瘍細胞の分化誘導 先年テラトカルシノーマEC細胞に種々のシンテターゼ阻害剤を作用させ、内皮様細胞に分化誘導できることを示したが、最近上記ベスナリノンでは、神経系細胞を高率に出現させうることを見出した。 4.以上の結果、本研究の目的である細胞分化やプログラム死におけるポリ(ADP-リボシル)化の役割解明のための知識と手段がさらに充実したと考える。事実、われわれの見出したポリ(ADP-リボース)シンテターゼの強力な阻害剤の幾つかは、既に世界的にアボトーシスの研究に応用されつつある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miyahara,T.: "Hyperthermic enhancement of cytotoxicity and increased uptake of cis-diaminedichloroplatinum(II) into cultured human esophageal cancer cells" Jap.J.Cancer Res.84. 336-340 (1993)
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[Publications] Banasik,M.: "Activators and inhibitors of ADP-ribosylation reactions" Mol.Cell.Biochem.(in press).
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[Publications] Banasik,M.: "Dual inhibitory effects of dimethyl sulfoxide on poly(ADP-ribose) synthetase" J.Enz.Inhib.(in press).
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[Publications] 上田國寛: "臨床検査におけるPCR(1)" 医学検査. 42. 892-895 (1993)
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[Publications] 上田國寛: "臨床検査におけるPCR(2)" 医学検査. 42. 1008-1010 (1993)
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[Publications] 上田國寛: "遺伝子生物学用語辞典" ホルモンと臨床. 41. 177-203 (1993)
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[Publications] 上田國寛: "小児臨床検査マニュアル" 文光堂, 662 (1993)
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[Publications] 上田國寛: "最新内科学大系" 中山書店(印刷中), (1994)