1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454171
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 正康 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80040278)
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Keywords | free radical / superoxide / superoxide dismutase / fusion SOD / oxygen toxicity / hypertension / endothelial cells / targeting |
Research Abstract |
脳血管障害をはじめとする各種の疾患にスーパーオキシドラジカルが病態増悪に関与する可能性が示唆されているが、活性酸素ラジカルが短寿命であるために病巣局所で選択的に消去する事が困難であった。これまでに、化学修飾法および遺伝子工学的手法を用い、長時間作動型の病巣指向性SOD、血管内皮細胞指向性SOD(HB-SOD)、腎近位尿細管指向性SOD等を開発してきた。これらの部位指向性SOD群を用い、特定の組織細胞局所でスーパーオキシドを特異的に消去することにより、高血圧、脳虚血障害、脳浮腫、虚血再循環性不整脈、肝移植病態、ストレス潰瘍等における病態が著明に改善することから、多彩な疾患に活性酸素が深く関与する事を明らかにしてきた。さらに、本研究により肝実質細胞膜Galactoseレセプター及び網内系細胞のMannoseレセプターに特異的に結合する肝指向性SOD(GAL-SOD & MAN-SOD)を開発した。これらの肝指向性SODを用いて解析した結果、以下のことが判明した。 HB-SODを用いて解析した結果、血管内皮周辺におけるスーパーオキシドラジカルの過形成が遺伝性及び非遺伝性高血圧ラットの血圧上昇の原因になっていることが明らかになった。本所見は、活性酸素代謝制御の観点から新たな高血圧治療が可能であることを世界で初めて示した研究であり、その意義は極めて大きい。 Mannoseレセプター含有細胞に特異的に集積するMAN-SODを正常ラットに投与したところ、投与直後に全身の血圧が完全に消失し、数分以内に動物が死亡した。本降圧作用がMannose結合アルブミンで拮抗阻害される事、及び失活したMAN-SODはこの様な降圧作用を示さないことから、スーパーオキシドが血圧維持に不可欠な生理活性分子であること、及び全身の抵抗性血管のトーヌスがMannoseレセプター含有細胞により統合制御されていることが判明した。本研究により確立された活性酸素が全身血圧を統合制御するという新概念は血液循環研究の分野に新たなページを開くものであり、その医学的意義は極めて大きい。
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