1993 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に発現亢進を伴って増幅している新たな遺伝子のクローニングの試み
Project/Area Number |
05454179
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福本 学 京都大学, 医学部, 助教授 (60156809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 裕 京都大学, 医学部, 助手 (30216072)
|
Keywords | 食道癌 / 遺伝子増幅 / ヒト / 染色体11q13 / サイクリンD1 |
Research Abstract |
ヒト食道扁平上皮癌より樹立した23細胞株について、c-myc,c-erbB,染色体11q13領域の増幅を中心として検索を行い、以下の知見を得た。11q13の増幅は9株に、c-myc増幅は5株、erbB増幅の3株にみられた。c-myc増幅は高分化型に有意に高頻度でみられ、常に他の癌遺伝子の同時増幅を伴っていた。cyclin D1遺伝子増幅は9株で認め、そのうち1株は発現が全く検知できなかった。以上から、食道癌の高分化型と低分化型では発癌に関して一連の流れがあるのではなく、各々異なった遺伝子変化によるものと考えられる。cyclin D1は染色体11q13部位の増幅の標的遺伝子の候補ではあるが確定的でないことも明らかである。また、c-mycと異なり、cyclin D1ではメチル化が遺伝子発現の抑制に関与していないことも明らかとなった。さらに、11q13領域にマップされているGST-P遺伝子の発現も検討したが、11q13領域の増幅とは必ずしも相関しなかった。 未知の標的増幅遺伝子のクローニングに、当初考えていた、In-gel法とPCRで作製したcDNAライブラリーを組み合わせた方法では、増幅されるmRNAに片寄りがあるため、必ずしも増幅単位の標的遺伝子の検知に結びつかないことが判明した。逆転写にランダムプライミングではなく、オリゴdTを用いるなど、PCRのプライマーを工夫してもこれらは改善されなかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Fukumoto,M: "Chromosomal Location and Structure of Amplicons in Two Human Cell Lines with Co-Amplification of C-myc and K-ras Oncogenes." Somat.cell Molecul.Genet.19(1). 21-28 (1993)
-
[Publications] Arao,S: "Expression of Multidrug Phenotype in Human Primary Ovarian Tumor Tissues." Cancer Res.accepted for publication. (1993)
-
[Publications] Mandai,M: "Expression of Metastasis-related nm23-H1 and -H2 Genes in ovarian Carcinomas" Cancer Res.accepted for publication. (1993)
-
[Publications] 福本 学: "分子病理学 腫瘍における遺伝子増幅" 杉山武敏編 文光堂, 389-394 (1993)