1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454182
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 秀 熊本大学, 医学部, 教授 (90040196)
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Keywords | IL-1 / IL-1ra / 炎症 / LPS / 白血球滲潤 / 関節炎 |
Research Abstract |
我々は炎症反応制御に関する「抑制サーボ機構」という新しい概念を考え、これを実証するため、ウサギ膝関節炎を場とし、炎症制御システムとしては、IL-1-IL-1ra系を選び、この炎症開始シグナルおよびその抑制系の量的関係と炎症反応の発現への関わりについて検討した。本年度は主としてこの研究のための道具の開発を行った。申請書に計画したように、1)われわれが明らかにしたウサギIL-1raのcDNAを大腸菌に組み込み遺伝子組換体を発現し、これを完全に精製した。この組換体は、そのN端がアセチル化されていない点が天然物と異なっており、そのため等電点がすこし異なるが、生物活性の点では天然物と同じ比活性を示した。2)この組換体をもちいてヒツジを免疫してポリクロナル抗体を作成し、これを用いて免疫染色、ELISA法による定量系を開発した。3)ウサギの膝関節に大腸菌エンドトキシン(LPS)を注射して起こした急性炎症について、細胞滲潤、軟骨破壊をパラメーターとし、この炎症反応の進展状況についての基礎データーを明らかにし、これらの炎症パラメータとIL-1およびIL-1raの産生動態との関連を追求した。この結果LPS関節炎においては炎症9時間をピークとする細胞滲潤が見られること、軟骨破壊は24時間で明瞭になることが明かとなった。この炎症におけるIL-1産生は主としてIL-1betaであり、IL-1alphaの産生は僅かであった。IL-1beta産生は炎症2時間頃から検出限界以上となり、6時間でピーク値を示し、その値は196.7±89.4pg/jointであった。一方、IL-1raの産生は2時間頃から検出され始め、9時間でピークに達し、その量は34500±13400pg/jointであった。このピーク時の産生量のモル比はIL-1raがIL-1の約200倍も産生されていることを示す。IL-1とIL-1raのレセプターへの結合定数はほぼ同レベルであるから、炎症局所では抑制因子が大過剰に産生されていることが明かになった。4)ウサギ膝に組換IL-1beta30pgを注射すると炎症反応が再現できるが、この反応の完全に抑制するためには、モル比で約1万倍のIL-1raを必要とした。以上のように本年度は計画のほとんどを達成した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsukawa,A.他: "Development of a neutralizing monoclonao antibody against rabbit IL-1 receptor antagonist and utilization for ELISA and measurement of masked IL-1 activity." Immunological Investigations. (印刷中). (1994)
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[Publications] Mori,S.他: "Dynamic changes in mRNA expression of meutropluls during the course of acute inflammation in rabbitsi International Immundogy" 6. 1994. (149-156)
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[Publications] Matsukawa A.他: "Producion of IL-1 and IL-1 receptor antagonist and the pathological significance in lipopolyaccharide-induced arthritis in rabbits" Clinical and Experimental Immunology. 93. 206-211 (1993)
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[Publications] Ohkawara,S.他: "Intractable Vasculitis Syndromes(分担)" Hokkaido University Press., 8 (1993)