1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子クローニングによる抗C型肝炎ウイルスのヒトモノクロナル抗体の単離
Project/Area Number |
05454185
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
江角 真理子 日本大学, 医学部, 助教授 (30167291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉谷 雅彦 日本大学, 医学部, 助手 (40187654)
中林 啓記 日本大学, 医学部, 助手 (50237369)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / モノクロナル抗体 / 遺伝子クローニング / 中和抗体 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルスは未だ適当なウイルス感染増殖系がないために、中和抗体の検出が極めて困難な状態にある。また患者の病態、感染動態を見る限り、中和抗体がヒトでは誘導され難いか、またはウイルスの高変異によるescape mutantの出現によってウイルスが中和抗体からうまく逃れているため、持続感染が成立すると考えられる。そこで、本研究では多種の動物を免疫することにより、中和抗体をヒト以外から見いだすこと、中和抗体アッセイ系を確立し確実な中和抗体を見つけ出すことを目的として、以下に示す実験を行った。 まず中和抗体の候補として、2つのエンベロープ糖蛋白E1とE2に対する抗体を作製した。昆虫細胞で発現させたエンベロープ糖蛋白E1,E2をマウスおよびチンパンジーに免疫し、抗血清を得た。チンパンジーおよびマウスに誘導された抗体について、20アミノ酸からなる、42個の合成ペプチドでエピトープマッピングを行ったところ、ヒト患者中には見いだされない種々のlinearエピトープに対する抗体が見出された。この中から、中和活性が期待できる抗体も見いだされると考え、これらの抗体について、現在ウイルスcaptureアッセイを行っている。またC型肝炎回復期患者血清、チンパンジー回復期血清も中和抗体候補として検索を進めている。 なお、ウイルスcaptureアッセイを進める中で、C型肝炎ウイルス陽性血清中では、一部のウイルスが既に患者抗体とimmune complexを形成していることが明かとなった。このimmune complexは感染経過に伴い増加することから、ウイルスcaptureアッセイに用いるウイルス陽性血清はimmune complexの少ない血清を予め選択するか、immune complexを除去した血清を用いる必要があった。また、ウイルスcaptureアッセイも、protein A Sepharoseではなく、二次抗体を用いたアッセイに改良した。現在、改良アッセイ系で中和抗体の検索を進めている。中和抗体と中和エピトープが明らかになり次第、その個体のリンパ球よりイムノグロブリン遺伝子をクローニングする予定である。
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[Publications] 野崎周英他: "Expression and epitope analysis of hepatitis C virus NS1." Int.Hepatol.Commun.1. 31-36 (1)
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[Publications] 西原司他: "Secretion and purification of hepatitis C virus NS1 glycoprotein produced by recombinant baculovirus-infected insect cells." Gene. 129. 207-214 (1993)
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[Publications] 志方俊夫他: "C型肝炎ワクチン開発の展望" 治療. 75. 1215-1221 (1993)
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[Publications] 江角真理子他: "Hepatitis C virus and liver diseases." Pathol.Int.44. 85-95 (1994)