1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454188
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 英生 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40033203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 徹 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (80235655)
太田 敏子 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (40233134)
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Keywords | ブドウ球菌 / ウエルシュ菌 / 病原因子 / 細菌毒素 / ストレス蛋白 / 熱ショック蛋白 / 転写因子 / 転写調節 |
Research Abstract |
ブドウ球菌のストレス応答の分子機構とウエルシュ菌の病原因子産生の調節機構のについて解析した。 ブドウ球菌は46Cの熱ショックに応答して熱ショック蛋白質(HSP60群、HSP70群など)を産生し自己を熱による変性から防御する。その応答は明かに遺伝子の転写レベルで行われており、それぞれの遺伝子群の特異的なパリンドローム構造が関与していることが解った。さらにその特異的構造に結合する蛋白分子があり、それが転写因子である可能性がある。ブドウ球菌の転写因子は、大腸菌や枯草菌のようにはっきりした熱ショック応答転写因子が同定できず、これまでに報告されている1種類が関与しているらしい。その因子は熱ショックにより増加するので、ブドウ球菌ではおそらく大腸菌などとは異なる機構により熱ショック応答しているのであろう。アルカリショックに応答する蛋白分子(ASP23)も同定しており、その分子機構をも明かにした。 ウエルシュ菌の菌体外毒素・酵素(フォスフォリパーゼ、パ-フリンゴリジン、コラゲナーゼ、ヘモアグルチニンなど)の産生を調節する遺伝子(virR/S系)を同定し、その作用機構を解析した。パ-フリンゴリジンの場合、その遺伝子(pfoA)の上流にこれを正に調節する遺伝子(pfoR)があり、pfoRにはvirRにより転写を制御される転写開始点と制御を受けない転写開始点があることが判明した。pfoAとコラ-ゲナーゼ(colA)は同じくvirRにより制御されているため、その遺伝子配列(染色体地図)を解析したところpfoR、pfoA、arcA,B,Cなどアルギニン代謝関連遺伝子群、pbg(b-ガラクトシダーゼ)などの順で配列しているこたがわかった。また、virR/S系の発現を調節している遺伝子が同定され、その蛋白分子を同定しているが、その分子は菌体外に分泌され、他の菌体のvirR/S系の発現をも調節する因子であり、菌体間の情報伝達物質として極めて重要な機能を果たしていることが推察された。 2種類のグラム陽性菌のストレス応答機構と病原因子産生調節機構が解かり、これをさらに検証・普遍化することにより、病原細菌のストレス(外来刺激)による病原因子産生の調節・制御機構が明かとなり、抗菌作用物質に関する新しい概念が確立できると確信する。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Shimizu, T. et al: "Sequenceanalysis of flanking regions of the pfoA gene of Clostridium perfringens:β‐galactosidase gene (pbg) is located in the 3′‐flanking region." Microbiology and Immunology. 39. 677-686 (1995)
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[Publications] Kobayashi,T.et al: "Transcriptional analysis of the β‐galactosidase gene (pbg) in Clostridium perfringens." FEMS Microbiol.Lett.13. 65-69 (1995)
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[Publications] Shimizu, T. et al: "Characterization of a toxin‐deficient Clostridium perfringens strain, KZ1340" Microbiology and Immunology. 40. 141-145 (1996)
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[Publications] Ba-Thein, W. et al: "The virR/virS locus reguletes the transcription of genes encoding extracellular toxin in Clostridium perfringens" J. Bacteriol.(in press). (1996)
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[Publications] Kagawa, Y., T. Ohta, et al: "Gene of heat shock protein of sulfer‐dependentarchaeal hyperthermophile Dedulfurococcus" Biochem. Biophys. Acta. 214. 730-736 (1995)
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[Publications] 矢野博、林英生: "PCR法による細菌リボゾームRNA遺伝子を指標とした植物病原細菌のDNA多型検出" DNA多型. 3. 268-273 (1995)
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[Publications] 清水徹: "ウエルシュ菌における毒素産生調節" 日本細菌学雑誌. 50. 737-744 (1995)
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[Publications] 林英生: "病理細菌の進化生態学" 病態生理. 14. 689-698 (1995)
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[Publications] 太田敏子: "黄色ブドウ球菌はどのような機構でストレスに耐えるか" 日本細菌学雑誌. 51(in press). (1996)
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[Publications] Shimizu, T. et al: "Molecular genetics and pathogenesis of the Clostridia" In. J. Rood, G. Songer, B. MacLane, and R. Titball ed. Academic Press Ltd. London, UK. 1996 (in press), (1996)