1993 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染時の白血球によるスーパーオキシド産生系活性化の機構とその異常に関する解析
Project/Area Number |
05454189
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金ヶ崎 士朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 園子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (00013764)
布井 博幸 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50218260)
大海 忍 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20160046)
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Keywords | 好中球 / スーパーオキシド / b型シトクロム / 47kDa蛋白質 / 電気穿孔法 / 慢性肉芽腫症 |
Research Abstract |
好中球のスーパーオキシド産生系には形質膜上の特殊なb型シトクロムと細胞質の複数の蛋白質が関与する。細胞質の蛋白質は刺激により膜上に集合して、活性化されたスーパーオキシド産生系が形成されると推定される。このシトクロムの大小2個のサブユニットのカルボキシル(C)末端は細胞質側に長く伸長している。そこで、両サブユニットのC末端の配列のペプチドを各種合成し、膜と細胞質からなる無細胞スーパーオキシド産生系に対する競合試験を行った。その結果、これらのペプチドが存在すると、スーパーオキシドの産生が濃度依存的に阻害されることが明らかになった。この阻害はシトクロムのC末端部分に結合すべき細胞質の蛋白質が加えたC末端部分の配列のペプチドと反応するために引き起こされたものと推定された。そこで還元状態では切断可能な架橋剤を用いてこれらのペプチドが結合している相手を同定した。すなわち好中球の細胞質とこれらペプチドを反応させ、架橋後電気泳動で分離した蛋白質をペプチドに対する抗体で識別した。その結果、細胞質の47kDaの蛋白質がC末端ペプチドの相手であることが判明した。さらに、電気穿孔法により好中球細胞内に、シトクロム大鎖のC末端配列ペプチドに光感受性架橋剤を結合したものを導入した。そしてこの細胞を走化性因子で刺激後、紫外線で架橋しペプチドの結合相手を同定した。この場合もやはり相手は細胞質の47kDaの蛋白質であることが判明した。これらのことは系の活性化に際し、47kDaの蛋白質とシトクロムのC末端部分の結合が重要な鍵であることを示している。なお、活性化の異常に関しては、先のシトクロムの点変異をもつ慢性肉芽腫症の患者をみいだし、その活性について検討中である。
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[Publications] Shiota,M.,S.Mori,S.Imajoh-Ohmi,M.Nakamura,S.Kanegasaki,H.Serizawa,T.Izumo and T.Uehara: "Expression of cytochrome b_<558> on B cell-and CD-30 positive-lymphomas." Path.Res.Pract.189. 985-991 (1993)
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[Publications] Kanegasaki,S.,Imajoh-Ohmi,S.,Nakanishi,S.,Makino,R.and Ishimura,Y.: "Supcroxide-generating system in phagocytes and B lymphocytes:Site of generation and activation mechanism." Superoxide and Superoxide Dismutase.(in press). (1993)
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[Publications] Ariga,T.,Sakiyama,Y.,Tomizawa,K.,Imajoh-Ohmi,S.,Kanegasaki,S.and Matsumoto,S.: "A newly recognized point mutation in the cytochrome b_<558> heavy chain gene replacing alanine 57 by glutamic acid,in a paient with cytochrome b positive X-linked chronic granulomatous disease." Eur.J.Pediatr.152. 469-472 (1993)