1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454201
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤永 けい 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 幸治 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (80111128)
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Keywords | アデノウイルス / 転写調節因子 / ets群遺伝子 / アデノウイルスE1Aエンハンサー / E1A遺伝子 |
Research Abstract |
E1A遺伝子はウイルスが細胞に感染した後、最初に発現し、そのトランス型活性化作用によって、自己および他の初期遺伝子群の転写を活性化する。本研究では、E1A遺伝子の転写調節機構を明らかにするする目的で、E1A遺伝子上流のエンハンサー配列に結合する宿主細胞蛋白(E1AF)の遺伝子構造と機能を解析した。また、E1AF遺伝子の発現とアデノウイルス増殖の関連性を調べた。E1AFはそのC末側に、DNAに特異的に結合するETSドメインを持つことからc-ets遺伝子ファミリーに属する。E1AF遺伝子のN末側を順次、欠失した変異体を構築し、CATレポーター遺伝子とcotransfectionした結果、酸性アミノ酸の領域と、特にグルタミンに富む領域E1AFの転写活性化能に必要であった。E1AF遺伝子のプロモーター領域とゲノム構造を分析するために、E1AF遺伝子を含むλファージクローンを4個分離し、塩基配列を部分的に決定した。その結果、これらのクローンがC末端側、ETSドメイン、グルタミンに富む領域を含むことがあきらかとなり、また、1部のイントロンとエキソン構造がマップされた。引き続き、N末側とプロモーター領域のクローン化を続行中である。E1AF遺伝子の細胞特異的発現をノーザン法を用いて調べ、各種のヒト細胞株に約1.5kb E1AF mRNAを検出した。ヒト乳がん細胞(MCF7株)に発現が認められなかったので、E1AF遺伝子を導入し、E1AF発現MCF7細胞を樹立した。この細胞を用いて、ウイルスの増殖に及ぼすE1AFの効果を検討した。アデノウイルス感染の初期にE1A遺伝子の発現をノーザン法により、感染後期にウイルスDNAを抽出し、電気泳動法により定量した。その結果、E1A mRNAおよびウイルスDNAの両者ともに、MCF7とE1AF発現MCF7細胞の間で顕著な差が認められなかった。検出限界以下の少量の内在性E1AFがE1A遺伝子の転写の開始に働き、ウイルス感染の起動をもたらした可能性が考えられる。現在、転写活性化領域を除いたE1AF遺伝子を宿主細胞に導入し、内在性E1AFの機能を防げることによって、ウイルスの増殖を抑制できるかどうか検討中である。
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[Publications] Fujinaga,Y: "Sequence variation of human papillomavirus type 16 E7 in preinvasiveand invasive cervical neoplasias." Virus Gene. 9. 85-92 (1994)
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[Publications] Sawada,Y.: "Identification of functional domains of adenovirus tumor-specific antigen in types 5 and 12 by viable viruses carrying chimeric E1A gene." Int.J.Cancer. 57. 598-603 (1994)
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[Publications] Hotsubo,T: "Detection of human cytomegalovirus DNA in breast milk by means of polymerase chain reaction." Microbiol.Immunol.38. 809-811 (1994)
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[Publications] Ishida,S.: "Unusual splice sites in the E1A-E1B cotranscripts synthesized in adenovirus type 40-infected Ad549 cells." Arch.Virol.139. 389-402 (1994)
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[Publications] Yoshida,K.: "Transcriptional regulation of the adenovirus R1A gene." Current Topics Microbiol.Immunol.(in press).
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[Publications] Higashino,F.: "Ets-related protein E1A-F can activate three different matrix metalloproteinase gene promoters." Oncogene. (in press).