1993 Fiscal Year Annual Research Report
エックス線上部消化管検査のリスク-ベネフィット解析
Project/Area Number |
05454223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 芳朗 東京大学, 医学部(医), 教授 (50175741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 倫明 東京大学, 医学部(医), 助手 (10185697)
草間 朋子 東京大学, 医学部(医), 助教授 (50134523)
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Keywords | 上部消化管検査 / リスク-ベネフィット解析 / 実効線量 / TLD / 集団検診 |
Research Abstract |
わが国では、上部消化管のエックス線検査が、成人病、人間ドックなどの集団検診の際の検査項目の一つになっている。上部消化管エックス線検査は、同じように集団検診の際の検査項目になっている胸部エックス線検査に比べて、実効線量が大きいという点、および、透視を伴うために被検者ごとの線量が異なるという点で放射線防護上の配慮がとくに必要とされる。そこで、本研究では、上部消化管検査の集団検診としての正当化の判断をする際の基礎資料とするためにリスク-ベネフィット解析を行うこととした。上部消化管エックス線検査の際の被検者の線量を把握するために、5箇所の検診センターで、被検者の線量の実測を行った。被検者の身体表面の4箇所に放射線測定器(TLD)を装着し、その線量から臓器線量を推定することとした。各被検者ごとに、線量評価に必要なエックス線の照射条件、透視時間等に関する詳細な情報を入手した。臓器線量の推定のための計算コードを開発し、照射条件等の情報と身体表面の線量から臓器線量および実効線量を推定する。ベネフィットは文献検索を行いその結果をもとに評価することとした。 被検者105人の、上部消化管エックス線検査の際の、皮膚線量は、最少の被検者で6mGy、最大の被検者で211mGyであり、約35倍の違いが認められた。施設間の皮膚の平均線量を比較すると、最少の施設で、20±8.9mGy、最大の施設で、123±52mGyであり、施設間の違いも大きいことが明らかである。いずれの施設の場合も変動係数が40%近くあり、個人差が大きいことが明らかである。実測データをもとに、臓器線量の推定を現在進めている。
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