1993 Fiscal Year Annual Research Report
肝性脳症における事象関連電位のトポグラフィー的研究
Project/Area Number |
05454244
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 明治 富山医科薬科大学, 医学部内科学第3, 教授 (00033390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 幸裕 富山医科薬科大学, 附属病院第3内科, 助手 (00235673)
斎藤 清二 富山医科薬科大学, 附属病院第3内科, 講師 (70126522)
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Keywords | 肝性脳症 / 肝硬変 / 肝不全 / 事象関連電位 / トポグラフィー / 脳マッピング / 神経機能検査 / P300 |
Research Abstract |
肝性脳症の早期診断法を明らかにするため、認知機能の異常(congnitive dysfunciton)について事象関連電位(P300)の等電位図(トポグラフィー)の面から検討し、次のような新しい知見を得た。 1.代償性肝硬変例を中心に、血中アンモニア、記号追跡試験、WAIS(積木問題、符号問題)、光・音に対する反応時間の5項目の定量的神経機能検査を行い、2項目以上の異常を呈する潜在性脳症例を60%に検出した。 2.肝硬変例における事象関連電位(P300)の振幅と潜時を測定し、潜在性脳症の有無で比較した結果、潜在性脳症例ではP300潜時の有意の延長が観察された。加齢による生理的変化を考慮してもこの差は有意であった。 3.得られたP300のデーターを等電位分布図(トポグラフィー)作成用のシグナルプロセッサーで解析し、二次元カラー表示し、脳内局在の変化(脳マッピング)を記録した。その結果、対照例でみられるP300は中心・頭頂部付近に正円形にみられたのに対し、肝硬変例では側頭部または後頭部側に偏在する例がみられた。 4.P300脳マッピングに異常がみられた例では、MRI像(T_1強調画像)で大脳基底核のT_1高信号病変が検出されることが多い。また、P300潜時の延長を示した例では、他の定量的神経機能検査、とくに警察庁方式のCRT検査(運転適性)に異常がみられる頻度が高い。 5.今後の課題としては、潜在性脳症を呈する肝硬変例数を増加させることと、急性肝不全例とくに亜急性肝炎例での検討を行い、両群の比較を試みる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Watanabe,A.: "Reduction of increased signal intensity in the basal ganglia on T_1-weighted MR images during treatment of hepatic encephalopathy." Int.Med.32. 10-14 (1993)
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[Publications] Watanabe,A.: "Effectivity and safety of mannitol treatment for acute hepatic failure in rats." Res.Exp.Med.192. 401-406 (1992)
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[Publications] 渡辺明治: "肝疾患と交通事故-潜在性肝性脳症例の運転適性." 消化器科. 16. 445-457 (1992)
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[Publications] Watanabe,A.: "Effect of ammonia and other putative neurotoxic substances on glutaminase activity in synaptosomal mitochondria from rat cerebrum and brain stem." Res.Commun.Chem.Pathol.Pharmacol.17. 61-64 (1992)
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[Publications] Watanabe,A.: "Cerebral edema during hepatic encephalopathy in fulminant hepatic failure" J.Med.23. 29-38 (1992)
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[Publications] 渡辺明治: "潜在性肝性脳症" メディカルレビュー社,渡辺明治, 134 (1993)