Research Abstract |
1.開胸肺生検によって特発性肺線維症(IPF)と診断された症例,疾患対象としてのサルコイドーシス症例,および対象健常人(非喫煙者,喫煙者)について,肺傷害・線維化の指標として,血清中および気管支肺胞洗浄液中のα_1-アンチトリプシン,好中球エラスターゼ,III型プロコラーゲンペプチド,IV型コラーゲン7S,ヒアルロン酸,ACE,LDH,CEAなどを,中心に経時的に変化を追跡した.結果として,これらの指標が,PF症例で進行とともに高値を示すことが多いことを見いだした. 2.IPFの開胸肺生検標本を用いて,肺線維芽細胞の炎症病変部位におけるturn overについて検討した.以前の成績から,肺線維芽細胞の増殖速度には,健常肺由来と線維化肺とのそれに差異は認められなかったが,抑制物質PGE_2による増殖抑制がかかりにくいことから,IPF症例の肺線維芽細胞はturn overが遅いのではないか,いわゆるapoptosisを抑制する状況が内因性にあるのではないかとの仮説から,apoptosisを抑制するbc12が細胞内に増加しているかどうか,apoptosisを誘導するFas抗原が出現していないのかどうかについて,免疫組織化学的に検討した.結果として,抗bc12モノクローナル抗体により染色されたのは,リンパ濾胞の外層と一部の線維化領域,上皮細胞であったが,線維芽細胞であるとの特定はできなかった.抗Fasモノクローナル抗体による染色所見は現在のところ認められていない.以上の成績は,IPF病変の成立にapoptosisが関与していることを支持するものではないが,今後,更なる指標を用いての検討を行う予定である. 3.切除肺健常部分由来の線維芽細胞株を用いて,IL-1β,IL-1レセプターアンタゴニストの遺伝子発現をRT-PCR法により増幅し,HPLC法により定量する,あるいはNorthern blot法により検出定量することを試みている.
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