サイトカインの虚血性心疾患の発生・進展における役割に関する基礎的・臨床的研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05454274
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 下川 宏明 九州大学, 医学部, 講師 (00235681)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710) ; 上野 光 九州大学, 医学部, 講師 (50260378)
• Keywords: サイトカイン / 細胞増殖因子 / 冠動脈硬化 / 冠等縮 / 虚血性心疾患

Research Abstract

(基礎研究)
1.代表的炎症性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)を直径45-165μのマイクロビーズに化学的に結合させる技術を開発した。こうして作成したIL-1β2.5μgを清潔手術下にブタ冠動脈に投与したところ、2週間後に、内膜の肥厚を伴う冠動脈の過収縮が生じた。この動物モデルは、虚血性心疾患における炎症性機序の関与を検討する上で有用であると思われる。
2.同モデルにおける冠動脈の内膜肥厚や過収縮は、血小板由来増殖因子(PDGF)やチロシンキナーゼ阻害剤ST638の同時投与により抑制されたところから、これらの冠動脈の反応は、IL-1β刺激により発現したPDGFがチロシンキナーゼ活性化を介して惹起していることが示唆された。
3.同モデルにおいて冠動脈平滑筋のミオシン重鎖アイソフォームの形質変換を調べたところ、脱分化方向への形質変換を認めた。
4.同モデルの冠動脈過収縮には、プロテインキナーゼCを介する経路の関与が重要であることが示唆された。
(臨床研究)
1.急性心筋梗塞患者において、末梢血のサイトカイン濃度およびサイトカイン産生能を検討したところ、その増加には一過性のものと持続性のものがあることが明らかになった。
2.虚血性心疾患患者では単球コロニー刺激因子(M-CSF)の末梢血濃度が増加していた。

Research Products

• [Publications] Ito A.,et al.: "Role of protein kinase C-mediated pathway in the pathogenesis of coronary artery spasm" Circulation. 90. 2425-2431 (1994)
• [Publications] Tsutsui M.,et al.: "Endothelial Gi protein in human coronary arteries" Eur Heart J. 15. 1261-1266 (1994)
• [Publications] Nakaike R.,et al.: "Effects of L-arginine analogues on vasomotion of isolated coronary arteries" Am J Physiol. (in press). (1995)
• [Publications] Tashiro H.,et al.: "Monocyte-related cytokines in acute myocardial infarction" Am Heart J. (in press). (1995)
• [Publications] Shimokawa H.,et al.: "Significance of defective signal transduction in impaired endothelium-dependent relaxation in atherosclerosis" Gerontology. (in press). (1995)
• [Publications] Shimokawa H.and Vanhoutte P.M.: "The Handbook of Hypertension" Elsevier Science Publishing Co.(in press), (1995)
• [Publications] 下川 宏明: "Annual Review 循環器" 中外出版(in press), (1995)