1995 Fiscal Year Annual Research Report
未熟児・新生児期脳障害後のニューロンの可塑性に関する実験的研究
Project/Area Number |
05454288
|
Research Institution | The Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
島田 司巳 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00079873)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青谷 裕文 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80175744)
小野 恭一 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70252385)
|
Keywords | 新生児脳障害 / 未熟児 / ニューロン / 可塑性 / 皮質脊髄路 |
Research Abstract |
私どもは初年度(平成5年)において、マウスの皮質脊髄路を構成する軸索の発達を定量的に検索した。その結果、皮質脊髄路の軸索の総数は生後急激に増加し、日齢14に最高となり、その後急激に減少する。生後56日には軸索総数は頂値の32%となる。すなわち、一旦過剰に投射した軸索がその後の発達の過程で68%の軸索が消退することを明らかにした。次年度(平成6年)はこの基礎データをもとに、一側大脳皮質を切除した場合の、健側及び障害側に於ける皮質脊髄路から脊髄灰白質へ投射する線維の発達を、脊髄レベルを中心に順行性HRP法により組織化学的に検索した。皮質脊髄路から脊髄灰白質へ投射する線維も、正常群では、皮質脊髄路の軸索の総数と同様に、生後急速に増加・伸展し、14日目にはHRP陽性線維は灰白質のほぼ全域に認められた。しかし、生後28日目以後HRP陽性線維の密度と範囲は急激に縮小した。 平成7年度には生後1日目に右側大脳皮質切除したマウスでの皮質脊髄路の軸索数および、皮質脊髄路から脊髄灰白質へ投射する線維の発達を検索した。 1.右側大脳皮質切除後の皮質脊髄路の軸索の発達:(1)正常群で生後5日頃まで認められる変性中の軸索(electron dense material)の頻度は、皮質切除群では有意に少なかった。(2)軸索総数の生後変化のパターンは正常群と同様であったが、皮質切除群では生後21日以後の軸索数の減少率が有意に少なかった。すなわち、皮質切除群では軸索淘汰を免れるもの、親軸索から萌出する軸索が多いことを示唆している。 2.皮質脊髄路から脊髄灰白質へ投射する線維:正常対照群と異なり、右側だけでなく対側の灰白質にも多くのHRP陽性線維の投射が認められた。しかし、生後28日目以後の灰白質内HRP陽性線維の密度および範囲の減少は対照群とほぼ同様であった。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 小野恭一・他: "新生仔ラット一側大脳障害後の新たな非交叉性皮質脊髄路の形成機序" 脳と発達. 27. 3-9 (1995)
-
[Publications] Masaki Ohno,et al.: "Glial responses to hypoxic lischemic encephalopathy in neonatal rat cerebrum." Developmental Brain Research. 84. 294-298 (1995)
-
[Publications] Tomoyuki Takano,et al.: "Congenital hydrocephalus:Role of transplacental mixovirus infection." Congenital Anomalies. 35. 15-24 (1995)
-
[Publications] Yasushi Yamawaki,et al: "Long-lasting effect of maternal hypephenylalaninemia during pregnancy of postnatal brain development of mice:Biochemical and morphological studies" Congenital Anomalies. 35. 199-206 (1995)
-
[Publications] Junji Uematsu,et al.: "Development of cortieospinal tract fibers and their plasticity.I.Quantitative analysis of the developing corticospinal tract in mice." Brain and Development. 18(印刷中). (1996)
-
[Publications] Junji Uematsu,et al.: "Development of corticospival tract fibers and their plasticity.II.Neonatal anilateral cortical damage and lulseguent development of cortico-lpinal tract in mice." Brain and Development. 18(印刷中). (1996)
-
[Publications] 島田司巳: "臨床新生児栄養学" 金原出版, 32-38 (1996)
-
[Publications] 島田司巳: "今日の治療指針" 医学書院, 777-778 (1996)