1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬の新たな作用機序に関する神経化学および行動薬理学的研究-前頭葉皮質ドーパミン系の選択的活性化仮説の提唱-
Project/Area Number |
05454308
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小山 司 北海道大学, 医学部, 教授 (10113557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久住 一郎 北海道大学, 医学部, 助手 (30250426)
|
Keywords | Clozapine / Dopamine / Prefrontal Cortex / Noradrenaline / Transporter / Atypical Antipsychotics / Conditioned Fear |
Research Abstract |
当初の実験計画にそい、脳内透析法モノアミン再取り込み及び受容体結合実験、恐怖条件付けストレス実験を用いて、以下の知見が得られた。 (1)我々が初めて見出したClozapineによる前頭葉皮質ドーパミン(DA)系における選択的活性化作用を、他の非定型抗精神病薬候補物質で検討した結果、Clozapineに特異な作用であることが明らかとなった。 (2)モノアミントランスポーター及び受容体プロフィールを全薬物で検討した結果、その機序として、ノルアドレナリン(NA)トランスポーターに対する親和性に焦点がしぼられた。すなわち、我々がすでに見出したNAトランスポーターによるDAの交叉性取り込みの過程をClozapineが阻害し、その結果NA系の豊富な前頭葉皮質に選択的にDA系の活性化がおこると考えられる。 (3)Clozapineの恐怖条件付けに対する効果は、Olanzapine、ORG5222でも認められ、そのED_<50>値は各薬物のドーパミンD_4受容体に対するKi値と逆相関を示した。 以上の結果より、Clozapineのユニークな薬理プロフィールとして、5-HT_2、D_2及びD_4受容体以外に、NAトランスポーターに対する親和性が明らかとなり、Clozapineによる前頭葉皮質DA系の選択的活性化の機序が明らかとなった。今後は、行動薬理学的に前頭葉皮質DA系活性化の意義を追求する必要があるが、現在のところ、情動性の視標として用いた恐怖条件付けに対する効果は、前頭葉皮質DA系活性化とは直接関連せず、むしろD_4受容体に対する阻害能と関連していた。今後、この方向性にそった行動薬理実験の継続が必要である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] S.Matsubara: "Dopamine D1,D2 and serotonin recepton occupation by typical and atypical antipsychotic drugs in Vivo." Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 265. 498-508 (1993)
-
[Publications] 小山 司: "精神科治療の奏効機序-三環系抗うつ薬・その他-" 精神医学. 36. 17-21 (1994)
-
[Publications] 松原繁広: "精神科治療の奏効機序-非定型抗精神病薬-" 精神医学. 36. 11-15 (1994)
-
[Publications] T.Koyama: "Prefrontal dopaminergic activation clozapine in the medial prefrontal castex:An in vivo microdialysis study." Biological Psychiatry. (in press). (1994)
-
[Publications] T.Inoue: "Regional changes in dopamine and serotonin activation with various intensity of physical and psychological stress in the rat brain." Pharmacology,Biochemistry and Behavior. (in press). (1994)
-
[Publications] T.Inoue: "Serotonergic activation reduces defensive freezing in the conditioned fear paradigm,an animal model of anxiety." Neuropharmacology. (in press). (1994)