1994 Fiscal Year Annual Research Report
奇形発現におけるteratogenとgeneの相互作用-抗てんかん薬とてんかん-
Project/Area Number |
05454309
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
兼子 直 弘前大学, 医学部, 助教授 (40106852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 毅 弘前大学, 医学部, 助手 (40215455)
大谷 浩一 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (00194192)
佐藤 公彦 弘前大学, 医学部, 助教授 (70003655)
福島 裕 弘前大学, 医学部, 教授 (80003482)
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Keywords | 抗てんかん薬 / てんかん / 奇形発現機序 / 遺伝 / 抗てんかん薬・活性代謝産物 / 妊娠 / 奇形発現防止 |
Research Abstract |
1.Epoxide hydrolase活性 肝臓から抽出したepoxide hydrolase(EH)活性に対する各種抗てんかん薬(AED)の効果を検討した結果、valproate(VPA)は治療濃度でEH活性を抑制するが、zonisamide(ZNS),phenobarbital(PB),carbamazepine(CBZ)には抑制効果はなく、phenytoin(PHT)はEH活性を軽度抑制した。 EH活性を規定する遺伝子と奇形発現の関連を検討するため、同じ両親から出生し、しかも奇形を有する子どもと奇形のない子どものいる5家系を集め、DNAを抽出し、EH geneを米国と共同で検索中である。 2.Clutathione-S-transferase(GSTs)活性 肝臓から抽出したGSTの各種isozymeに対する効果を検討した結果、治療濃度のPHT,PB,CBZ,ZNSは検討したすべてのGSTs(1-1,2-2,3-3,4-4,7-7)活性を抑制しなかった。高濃度(治療濃度の10倍)では、PHTはGST1-1,7-7を抑制し、PBはGST3-3のみを抑制した。VPAはGST3-3以外を濃度依存性に抑制した。 3.抗てんかん薬によるEH,GSTs抑制の意義 VPAによるEH,GSTs活性抑制は毒性を有するAED代謝産物(ex:epoxides)の解毒過程を抑制し、結果として毒性が高まり、奇形発現に至るものと考えられる。この結果はVPAとCBZ併用による箸しい頻度の奇形発現はVPAがCBZのepoxides分解を抑制し、CBZはVPAから4-en VPAへの代謝を促進することが関与する可能性を示し、一方、各個体の薬物代謝能力(EH活性、GSTs活性)を規定する遺伝要因も奇形発現に関与することを示す。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tsuyoshi Kondo: "Teratogenicity of valproate:Pharmacokinetics aspects." Neuropsychopharmacology. 10(3S/Partl). 573S- (1994)
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[Publications] Sunao Kaneko: "Major malformations in children of mothers with epilepsy." Neuropsychopharmacology. 10(3S/Partl). 576S- (1994)
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[Publications] Sunao Kaneko: "Antiepileptic agents and birth defects.Incidence,mechanisms and prevention." CNS Drugs. 3(1). 41-55 (1995)
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[Publications] 兼子直: "妊娠・挙子・催奇性の問題点" 精神医学レビュー. 10. 45-54 (1994)
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[Publications] 兼子直: "精神神経科の症候群'94, VII.医原性症候群,54.胎児性フェニトイン症候群" 臨床精神医学. 25(3). 328-331 (1994)
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[Publications] 兼子直: "特集 てんかんの包括治療 てんかんの薬物治療・最近の進歩" 神経進歩. 38(5). 759-770 (1994)
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[Publications] 兼子直: "妊娠のてんかんへの対応" 臨床と薬物治療. 14(1). 51-54 (1995)
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[Publications] Sunao Kaneko: "Epilepsy and Genetics." Journal of Psychiatry and Allied Neurosciences. (in press). (1995)