1993 Fiscal Year Annual Research Report
記憶モデルとしてのキンドリング(小脳歯状核がてんかん焦点形成に果す役割り)
Project/Area Number |
05454313
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
鶴 紀子 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (90041425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 勇人 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (70244192)
石田 康 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (20212897)
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Keywords | kindling / Dentate rucleus / Cerebellum / cat |
Research Abstract |
小脳歯状核が大脳の神経可塑性にどのように関与しているか扁桃核キンドリングモデムを用いて調べた。ラットでは一側小脳菌状核を予め破壊しておくと、扁桃核キンドリングの行動面の変化が促進されるが、キンドリングにともなう後放電の持続時間の増加、及び扁桃核における自発性てんかん性発射の数の増加はわずかであるのを報告している。今回、ネコを用いて、一側小脳菌状核を破壊した破壊群と対照群とで行動面のキンドリング発展過程、後放電の持続時間、てんかん性発作波の出現について比較検討した。11匹のネコを対照群と破壊群にわけ、扁桃核・海馬・視床腹外側核・小脳菌状核に電極を装着した。左小脳歯状核を電気破壊し、右扁桃核の電気刺激を行った。結果:1、キンドリングの進展過程:小脳菌状核一側破壊群の5/6と対照群の1/5において最初の刺激で2段階が認められたが、全経過で比較すると、有意差を認めなかった。2、後放電の持続時間:有意差を認めず。3、対照群のキンドリング完成時の脳波について、刺激側及び対側扁桃核に高頻度に棘波の出現を認めた。一側歯状核破壊群では、全般化するまでは刺激側扁桃核の棘波が多いが、全般化すると対側に棘波の出現が多くなり、刺激側ではむしろ少ない傾向を認めた。この変化は、扁桃核・海馬共に共通して認められた。4、対照群と破壊群の一次側扁桃核と海馬の棘波数を比較すると、有意差を認めなかった。5、対照群と破壊群の二次側扁桃核の棘波数を比較すると、破壊群で二次側の棘波数が多い傾向はあるものの、有意ではなかった。6、対照群と破壊群の二次側海馬の棘波数を比較すると、破壊群の棘波数が多かった。7、棘波数を一次側と二次側で比較すると、対照群では有意に一次側が多いが、破壊群で一次側と二次側の棘波数に差を認めなかった。これらの結果より、左歯状核破壊が右扁桃核キンドリングにおいて二次焦点形成を有意に促進した。また、種族差の存在が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鶴 紀子: "てんかんの神経機構(キンドリングによる研究)第5章 二次てんかん源性" 世界保健通信社(WadaJA;佐藤光源;森本清編著), (P113-122)381 (1993)
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[Publications] 鶴 紀子: "てんかん学最近の進歩IV、成因研究の進歩、2.キンドリング研究からみた発作発現、機序 1)神経生理学習立場から" 岩崎学術出版社(秋元波留夫・山内俊雄編著)印刷中,