1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454324
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石橋 みゆき 帝京大学, 医学部, 教授 (50134599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住永 雅司 帝京大学, 医学部, 助手 (30163059)
|
Keywords | エンドセリン / 肝細胞癌 / エンドセリン産生腫瘍 / 肝細胞癌の増殖 / 成長因子 / エンドセリン受容体 |
Research Abstract |
肝細胞癌は正常肝細胞と異なりエンドセリン-1(ET-1)を産生している。本年度は,肝細胞癌で産生されたET-1がautocrineあるいはparacrine的な作用で自らの増殖を促進している可能性を調べるため,(1)肝細胞癌にはET-1受容体が存在するか、(2)ET-1拮抗薬は肝細胞癌の増殖を抑制するかの2点について検討した。 (1)肝細胞癌のET-1受容体:ヒト肝細胞癌株(Huh-7,Mahlave,Alexander,Hep G2,Hep 3B,Sk-Hep-1)を対象に,ヒトET_AおよびET_B受容体のプローブを用いてnorthern blot analysisを行った。その結果、少なくとも2つの肝細胞癌株(Mahlave,Hep G2)にET_B受容体mRNAが検出された。ET_A受容体の発現はいずれの肝細胞癌株にも認められなかった。 (2)Huh-7については,遊離細胞と^<125>I標識ET-1との結合実験を行ってみると,肝細胞癌株Huh-7には高親和性(Kd=2.7×10^<-10>M)のET-1結合部位が存在した。 (3)ET-1拮抗薬の肝細胞癌増殖抑制効果:ヒト肝細胞癌株(Huh-7,Mahlave)をヌードマウスに移植した。実験群はET-1拮抗薬bosentan(Hoffmann-La Roche)を混じた飼料で,対照群は薬剤を含まない飼料で飼育し,腫瘍の大きさと実験終了時の腫瘍重量を両群で比較した。bosentan(10mg/kg/日)は,肝細胞癌の増殖を明らかに抑制した。効果は投与開始後既に4日目で認められ,実験終了時まで存続した。また,実験終了時に秤量した実験群の腫瘍重量も,対照群に比べて有意の低値を示した。 以上の実験成績から,次の結論が得られた。(1)ヒトの肝細胞癌にはET_B受容体が存在する。(2)その増殖はET-1に依存している。(3)ET-1拮抗薬は肝細胞癌増殖を抑制することから,治療薬として有望である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Ishibashi M,Ito N,Fujita M,Furue H,Yamaji T: "Endothelin-1 as an aggravating factor of disseminated intravascular coagulation associated with malignant neoplasms." Cancer. 73. 191-195 (1994)
-
[Publications] Ishibashi M,Fujisawa M,Furue H,Maeda Y,Fukayama M,Yamaji T: "Inhibition of growth of human small cell lung cancer by bromocriptine." Cancer Res. 54. 3442-3446 (1994)
-
[Publications] Kamoi K,Ishibashi M,Yamaji T: "Endothelin-1 and big endothelin-1 in NIDDM patients with and without microangiopathy." Diabetes Res Clin Pract. 24. 125-129 (1994)
-
[Publications] 宮川浩,輿石剛,中村尚志,阿部和裕,永井孝三,石橋みゆき,賀古眞,古江尚: "インターフェロン投与中,自己免疫性甲状腺機能低下症をきたしたC型慢性肝炎の一例." 総合臨床. 43. 205-208 (1994)
-
[Publications] 石橋みゆき,古江尚,大西真,三浦英明,藤沢道夫,岡輝明,山路徹: "成長因子としてのエンドセリン." 成長科学協会 研究年報 平成5年度. 17. 343-354 (1994)
-
[Publications] 石橋みゆき(分担執筆): "今日の治療指針 1994(無月経・乳汁分泌症候群.pp.524-525)" 日野原重明,阿部正和(監修)医学書院, 1298 (1994)
-
[Publications] 石橋みゆき(分担執筆): "内科治療ガイド'94(カルチノイド.pp.1036-1038)" Medical Practice編集委員会編,分光堂, 1508 (1994)