1994 Fiscal Year Annual Research Report
血栓症の危険因子、アポリポプロテイン(a)遺伝子の発現調節機構の研究
Project/Area Number |
05454327
|
Research Institution | Yamagata Universtity |
Principal Investigator |
一瀬 白帝 山形大学, 医学部, 教授 (10241689)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 友則 山形大学, 医学部, 助手 (00261694)
|
Keywords | リポプロテイン(a) / アポリポプロテイン(a) / 動脈硬化 / 血栓症 / 発現調節領域 / 転写活性 / 遺伝的多型性 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
アポリポプロテイン(a)[アポ(a)]の分子量や血中レベルは各個人によって大きく異なり、共優性遺伝する。そこで、アポ(a)アイソタイプと血中レベル、血栓傾向を予測することを目標に、アポ(a)遺伝子の5'転写調節領域やクリングル4領域の相違を検索している。平成6年度は、米国人と日本人の健常人、及び日本人の脳梗塞と心筋梗塞症例の末梢血からゲノムDNAを抽出して、個人のアポ(a)遺伝し5'領域をタイピングした。また、4つの5'領域タイプの転写活性をCAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)ベクターを用いて直接比較し、次の結果を得た。 (1)健常の白人66名のアポ(a)遺伝子の5'発現調節領域は、A、B、C、Dの4つのタイプに分類された。これに対して日本人の正常者58名のアポ(a)遺伝子の5'発現調節領域には、上記の4つのタイプのうち3つしか見られず、Bタイプを欠いていた。日本人の脳梗塞68例のアポ(a)遺伝子の5'発現調節領域は正常人のそれとほぼ同様に頻度分布しており、有意差がなかった。また、日本人の心筋梗塞50例では、Dタイプが少なかった。 (2)CATアッセイの結果、Aタイプの転写活性を100%として他のタイプの活性と比較すると、Bタイプはほぼ100%、C、Dタイプはそれぞれ200%、70%であった。従って、最も転写活性の高いCタイプと最も低いDタイプの間には約3倍の差があった。 従って、心筋梗塞症例でリポ(a)血中濃度が高いことの一部は個人のアポ(a)遺伝子の5'領域の転写効率の違いで説明できる。5'発現調節領域の多型性は個人のリポ(a)血中濃度の高脂血症薬に対する反応や各種疾患での変動に関与している可能性があるので、臨床例の検体とこのCATアッセイ系を用いて検討する予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ichinose,A.: "Characterization of the apolipoprotein(a) gene." Biochem.Biophys.Res.Commun.95. in press (1995)
-
[Publications] Ichinose,A.: "Detection pf polymorphims in the 5'-flanking region of the gene for apokipoprotein(a)." Biochem.Biophys.Res.Commun.95. in press (1995)
-
[Publications] 一瀬白帝: "アポリポプロテイン(a)." Annual Review 血液 1994. 232-240 (1994)
-
[Publications] 一瀬白帝: "血小板・凝固・線溶系疾患と遺伝子異常." バイオクリニカ. 9. 663-666 (1994)
-
[Publications] Ichinose,A.: "Thrombosis and Hemostasis" J.B.Lippincott Company., (36)19-54 (1994)
-
[Publications] 一瀬白帝: "臨床血栓止血学" 医歯薬出版, (7)122-128 (1994)