1993 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎の発症・進展過程におけるチロシンホスファターゼの病態生理的意義
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05454342
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 尚彦 大阪大学, 医学部, 講師 (70115997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 圓裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00223305)
藤原 芳廣 大阪大学, 医学部, 助手 (60135473)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 蛋白質チロシンリン酸化 / 糸球体腎炎 / cDNAクローニング / 組み換え蛋白質 / アンチセンスRNA |
Research Abstract |
(1)LRP C末端側の合成ペプチドを家兎に免疫し、高力価のポリクローナル抗体を得た.(2)ラット腎を皮質,髄質外層,髄質内層に3分割し,RNAを調製しノザン法によりLRPの遺伝子発現を検討したところ,いずれの分画においてもmRNAは検出されたが,とくに髄質内層においてLRP mRNAの豊富なことが明らかとなった.また,ラット腎よりmicrodissectionにより糸球体,近位尿細管,太いヘレンの上行脚,皮質集合管,髄質外層集合管,髄質内層集合管を単離し,reversetranscription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法により各尿細管セグメントにおけるLRPmRNAの発現を検討し,LRPmRNA発現が特に髄質部集合管に豊富であることを見いだした.(3)メサンギウム細胞におけるLRPの遺伝子発現はangiotensinII,endothelin-1,arginine vasopressin等の血管作動性ペプチドで誘導されることを見いだした.(4)LRPのアンチセンスRNAを強制発現させた細胞株を樹立し(LRP-AS)解析を行なったところ,LRP-ASにおいてはLRP蛋白発現が低下していた.またLRP-ASは対照細胞と比較して,偏平な形態を呈しており,増殖速度も対照に比し著明に低下していた.(5)LRP遺伝子上流調節領域の解析を行なうため,LRP遺伝子5'上流調節領域を単離し塩基配列を決定した.(6)新種チロシンホスファターゼのcDNAクローニングを行い,全長cDNAクローニングを得た.(7)得られた新種チロシンホスファターゼcDNAを大腸菌発現ベクターに組み込み,組み換え蛋白を発現させin vitroにおけるチロシンホスファチーゼ測定を行い,このcDNAが実際にチロシンホスファターゼをコードすることを明らかにした.
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