1993 Fiscal Year Annual Research Report
胎児子宮外保育システムを用いた未熟胎児の循環機能障害の病態解明に関する研究
Project/Area Number |
05454344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡井 崇 東京大学, 医学部(病), 助教授 (40126016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 昭彦 東京大学, 医学部(病), 助手
坂井 昌人 東京大学, 医学部(病), 助手 (30251268)
亀井 良政 東京大学, 医学部(病), 助手 (00251265)
海野 信也 国立病院医療センター, 医員 (90193979)
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Keywords | 人工子宮 / 胎児循環 / ECMO / 胎動抑制 |
Research Abstract |
我々の開発した人工子宮を用いてのヤギ未熟胎仔の保育期間は、これまでの成績では10日間が最高で、大多数のヤギ胎仔は100時間以上経過すると、徐々に胸腹水が貯留し、皮下浮腫が高度となり、最終的には心不全で死亡する。その理由としては、(1)無拘束状態のヤギ胎仔は活発な胎動を示し、その際の循環系の変動の大きさに体外回路の血流調節が追随できないため、徐々に循環状態に異常が生じている可能性、(2)無拘束状態の人工羊水中のヤギ胎仔では活発な嚥下運動と消化管の膨満が観察されており、過剰な飲水による循環血流量の増加が水分貯留をもたらしている可能性、(3)子宮外保育に導入されたヤギ胎仔の腎機能が未熟であり体外循環導入時の手術侵襲によって障害を受け、水代謝が適切に行い得ない状態になっている可能性、などが考えられた。 そこで、本年度は、胎仔の胎動を制限して、循環系の急激な変動と飲水行動を抑制し、同時にカテーテルのトラブル等を防止する目的で、胎仔にPancuronium Bromide(Mioblock)を投与し、生存期間の延長が可能かどうか検討した。その結果、胎齢120日及び128日のヤギ胎仔をそれぞれ493時間及び543時間人工子宮内で生存させることができた。更に、その後、水中より出して体外循環を停止させ、通常の人工呼吸器による管理に移行し、それぞれ705時間及び169時間保育することができた。筋弛緩剤の投与により、人工子宮内の胎仔の循環動態は非常に安定しており、心拍数、血圧、血液ガスも安定した値を維持した。 以上の事から、我々の開発した人工子宮を用いれば未熟胎仔を一定期間保育できることが判明したので、今後、人工子宮を病的胎児の治療に利用する可能性を考え、ヤギ胎仔に横隔膜ヘルニアを作製する手技の開発を開始した。平成6年度はこの手技を完成させ、人工子宮内での病的胎仔の保育と胎仔疾患の治療へと研究を発展させたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 海野信也,岡井崇他: "臍帯動静脈A-V ECMOによるヤギ未熟胎仔の長期間子宮外保育法-胎動抑制法の検討" 人工臓器. 22. 876-879 (1993)
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[Publications] 岡井崇,海野信也他: "人工子宮による胎仔保育実験" 進歩する心臓研究(予定). 14. (1994)