1993 Fiscal Year Annual Research Report
人工赤血球(ネオレッドセル)の臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
05454359
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
薄場 彰 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00145608)
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Keywords | 人工赤血球 / ネオレッドセル / NRC / 急性毒性試験 / 血液凝固系機能 / 補体系機能 / 網内系機能 / 慢性実験 |
Research Abstract |
ネオレッドセル(NRC)の臨床応用の課題の第一は出血性ショック時に血液の代用として輸血する。第二は開心術の際の人工心肺へ血液の替りにNRCを充填することである。以上の二つの課題を成就するには、NRCを大量には体ヘ投与しても生体に対しては無害で安全であることが必要最低条件である。そこで本年度はNRCの安全性を追求した。1.急性毒性試験:Wister系雄性ラットを用い,循環血液量の50%とNRCで交換し,血液学的,組織学的に検討したがNRCに毒性はなかった。ただし網内系(RES)臓器ではRES細胞による貧食像がみられた。2.血液凝固系・補体系への影響:in vitroとin vitroの実験を行なったが凝血異常や補体機能低下はみられなかった。3.体内動態:14Cイヌリンで標識したNRCをWister系雄性ラットへ投与し,オートラジオグラフィーで追跡した。血中のNRCはやがてRES臓器へ移行(血中半減期32.0時間),さに脂肪組織へ移行後代謝消失した。投与7日後にはNRCはもう検出されなかった。4.RES貧食能:Wister系ラットへNRCを静脈内投与し、カーボンクリアランス法で貧食指数(K値)を測定した。NRC40ml/kg以上投与で、投与直後にK値が一時低下したが24時間以内に回復した。5.慢性実験:ビーグル犬5頭を用い、循環血液量の82〜90%をNRCで交換した。NRCの代りにHESで交換した対照犬は15時間以内に死亡した。15日後に犠牲死させた一頭では組織学的に異常なかった。他の3頭は特に変化なく生存している。以上NRCは毒性毒性はなし,RES細胞に貧食されるが7日以内に代謝され消失している。しかもRES機能に対する抑制は一過性で投与後24時間以内に回復している。さらに慢性実験でも長期生存が得られ,NRCは大量に使用しても安全であるとの確証が得られた。
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