1994 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的アプローチによる敗血症発生機序の解明と高感度迅速診断法の開発
Project/Area Number |
05454364
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50142419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐橋 強 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20245509)
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Keywords | PCR / MRSA / MRSE / 敗血症 |
Research Abstract |
1。前年度の研究においてMRSA敗血症を高感度で迅速に診断する方法を開発し、臨床例に用いて良好な成績が得られた。ただ、そのときの問題点として、MRSEとの鑑別が生まれてきたが、本年度はTSST遺伝子とmecA遺伝子を同時に検出することにより、臨床例でもMRSA敗血症とMRSE敗血症を鑑別可能であった。すなわち、12例のMRSA敗血症患者ではTSST遺伝子とmecA遺伝子が同時に検出されたが、血液培養法でMRSEが検出された症例でPCR法を利用したわれわれの方法を使用するとmecA遺伝子のみでTSST遺伝子は検出されなかった。 2。正常健人より採血しRNAを抽出後、サイトカインmRNA発現を検討したところいずれのサイトカインmRNA発現も認められなかった。しかし、重症感染症患者では、末梢流血中の血液細胞においてIL-1とTNFサイトカインmRNA発現が認められた。これらの事実は、感染症患者では流血中の血液細胞が活性化していることを示していると考えられる。 3。敗血症発症・重症化の際に腎機能障害が発生するが、その機序として内皮細胞から放出されるエンドテリンが密接に関与していることをわれわれは明らかにしてきた。このエンドテリンはbig endothelineから変換酵素によりプロセッシングを受けて生じることが知られているので、変換酵素阻害剤により内因性エンドテリンを抑制することにより腎機能の改善がみられるか否かをエンドテリン変換酵素阻害剤を用いて検討したところ、big endotherinが上昇し、内因性エンドテリンが低下し、今後の更なる検討は必要であるが治療薬として使用できる可能性が示された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] AIURA: "Cirulating levels and physiological role of atrial natriuretic peptide during endotoxic shock in the rat." Critical Care Medicine. in press.
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[Publications] 市東 昌也: "mRNAレベルおよび血中濃度の変化からみた手術侵襲下におけるIL-l,TNFの活性化に関する検討" 外科と代謝・栄養. 28. 331-335 (1994)
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[Publications] 守瀬 善一: "ラットエンドトキシンショックモデルにおける内因性血中ET-1上昇に対するET変換酵素阻害剤の効果" 外科と代謝・栄養. 28. 275-280 (1994)
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[Publications] 若林 剛: "重症患者の病態生理-ホルモン・サイトカインの面から-" 集中治療. 6. 663-670 (1994)
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[Publications] 小林 宏行: "エドバコマブ(E5)のグラム陰性菌敗血症に対する臨床第II相試験" 感染症学雑誌. 68. 81-115 (1994)
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[Publications] Morise: "Pathophysiological role of endothelin-1 in renal function in rats with endotoxin shock" Surgery. 115. 199-204 (1994)
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[Publications] 北島 政樹: "外科臨床の分子生物学:分子生物学と臨床医学、外科の接点" 中山書店, 298 (1994)
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[Publications] 北川 雄光: "外科臨床の分子生物学:感染症のDNA診断" 中山書店, 298 (1994)