1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝・膵同時切除によって発生する新たな病態の解析と対策
Project/Area Number |
05454369
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
松本 由朗 山梨医科大学, 医学部, 教授 (20159156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正史 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00273045)
板倉 淳 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10252032)
藤井 秀樹 山梨医科大学, 医学部, 講師 (30181316)
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Keywords | 肝膵同時切除 / 肝エネルギー代謝 / G / I比 / 肝不全 / 異化亢進状態 |
Research Abstract |
肝・膵同時切除により発生する新たな病態の解析を行うため、生後7週の雄性SD系ラットを用い、肝膵同時切除モデルを作成した。肝切除はHiggins and Andersonに準じ70%肝切除を行い、膵切除はsplenic lobe(50%)の60%,gastric lobe(20%)の50%,duodenal lobe(20%)の50の切除を行い膵全体では50%切除を行った。膵切除の際にはmicrosurgery techniqueを用い、各lobeの膵管を確実に結紮すること、duodenumとspleenの血管のarcadeを残すことにより1週間以内の死亡率は0となった。この100%生存モデルでの肝・膵同時切除後のcatabolismおよび肝エネルギー代謝の状態をみるため、以下のごとく検討した。Sham operation群(S群)、70%肝切除群(H群),50%膵切除群(P群),70%肝切除+50%膵切除群(HP群)の4群に分け、各群の術前及び術後1・3・6・12・24時間の血糖、インスリン(I)、グルカゴン(G)、カテコラミン(CA)^3分画、動脈血中ケトン体比(AKBR)を測定した。血糖値は各群とも、全経過中130mg/dl以上に保たれていた。G/I比及びCA(特にNorepinephrine)は、HP群のみにおいて術後24時間以上高値(術前の3.6倍)を持続した。AKBRはHP群のみ術後6時間から12時間にかけて有意な低下(6時間;0.32)を認めた。今回の生存モデルでもHP群では、AKBRの低下する時期が存在し、G/I比、CAの変動からみて術後のCatabolic phaseが遷延することが示された。臨床例では、当モデルにおけるAKBRの低下に相当する時期に、出血や感染等過度な肝臓へのエネルギー需要負荷が発生すると肝不全に陥ることが示唆され、今後の課題と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 板倉淳: "胆嚢癌の縮小手術" 消化器外科. 18. 585-590 (1995)
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[Publications] Hideki Fujii: "Glucagon Responses in Rabbits with Obstructive Jaundice and a Low Energy Status in the Liver" Surg Today Jpn J Surg. 24. 982-986 (1994)
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[Publications] 松本由朗: "肝胆膵疾患研究の進歩第2" 胆道癌根治治療に向かっての最近の動向-肝膵同時切除の適応と問題点-, 9 (1994)