1993 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍における上皮性分化と造腫瘍性遺伝子変異の分子細胞遺伝学的研究
Project/Area Number |
05454405
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 周一 北海道大学, 理学部, 助教授 (80125278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 孝之 北海道大学, 医学部, 講師 (50142732)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
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Keywords | 骨軟部悪性腫瘍 / 滑膜肉腫 / 類上皮肉腫 / 腫瘍特異的染色体転座 / 遺伝子再配列 / 上皮性格 / ケラチン遺伝子 |
Research Abstract |
上皮性格を示す骨軟部悪性腫瘍のうち、今年度は滑膜肉腫と類上皮肉腫を中心に研究を進め、以下の結果を得た。 1.滑膜肉腫4例と類上皮肉腫2例の染色体分析を終え、X染色体短腕と18番染色体長腕の間の特異的染色体転座t(X;18)(p11;q11)を滑膜肉腫3例に認めた。このうち2例の転座切断点のクローニングにより、X染色体短腕の切断点は、それぞれOATL1およびOATL2(オルニチンアミノ基転移酵素様遺伝子1および2)の座位にあることを、英国がん研究所との共同研究により見出した。残り1例はまだ解析中である。今後、OATL遺伝子再配列の解析とともに、18番染色体切断点の遺伝子座位を明らかにしてゆく。 2.上皮性格の実体を探るため、6種類のケラチン遺伝子(KRT1、8、10、14、18、19)のmRNA発現を、滑膜肉腫と類上皮肉腫各2例、および上皮性格が明らかでない腫瘍としてユーイング肉腫5例、横紋筋肉腫9例、悪性繊維性組織球腫2例についてRT-PCRにより検索した。各症例とも、KRT1を除き、3〜5種類のケラチン遺伝子mRNAの発現が認められた。このうち、KRT8発現は全症例に認められた。滑膜肉腫と類上皮肉腫では、KRT8のほか18と19が発現していた。一方、予想に反し、ユーイング肉腫と横紋筋肉腫では、大部分の症例でKRT8を含め4〜5種類のケラチン遺伝子が発現していた。この結果は、種々の肉腫について上皮性格の見直しを迫るきっかけになるかも知れない。今後、解析するケラチン遺伝子の種類をさらに増やすと共に、今回の結果をケラチンタンパクの分子種検索結果と合わせ、腫瘍特異的なケラチン発現の有無を追究する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Janet Shipley: "The t(X:18)(p11.2;q11.2)translocation found in human synovial sarcomas involves two distinct loci on the X chromosome" Oncogene. (印刷中). (1994)
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[Publications] Takayuki Nojima: "Light-and electron-microscopic and immunological studies of human rhabdomyosarcomas.Comparisons among primary tumors,heterotransplants in nude mice,and cultured cells from 13 patients" Tumor Research. (印刷中). (1994)
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[Publications] Naoto Kagiyama: "A novel fluorescent method for in situ hybridization" Acta Histochem.Cytochem.26. 441-445 (1993)
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[Publications] Rumiko Matsuoka: "Human smooth muscle myosin heavy chain gene mapped to chromosomal region 16q12" Amer.J.Med.Genet.46. 61-67 (1993)