1994 Fiscal Year Annual Research Report
発がんリスクファクターとしての癌抑制遺伝子の配偶子突然変異
Project/Area Number |
05454408
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
琴浦 良彦 京都大学, 医学部, 助教授 (50127081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪山 直生 京都大学, 医学部, 助手 (90261221)
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Keywords | 骨肉腫 / p53遺伝子 / 配偶子性突然変異 / Rb遺伝子 |
Research Abstract |
p53遺伝子の配偶子突然変異に関しては全国各地域の16施設の協力を得て、平成3年4月より平成5年3月の間に診断が確定した骨肉腫患者57例の血液の提供を受けた。このうち発症に遺伝的要素の関与が否定的な高年齢での発症例を除いて発症年齢30歳未満の骨肉腫症例43例を研究の対象とした。得られたDNAサンプルのうち解析に使用でたのには41例のうち31例であった。解析された32例のうち1例(3.1%)のみに異常が発見された。解析されたサンプル数は決して充分ではないが1例の突然変異が検出されたことは大変有意義であった。突然変異の頻度は他の報告から予想された結果と概ね一致しておりと決して低いとは言えない。この1例は22歳の女性であり特に若年齢発症の癌や肉腫の家族歴はなく臨床経過においても治療後再発は認めていないが今後慎重な経過観察を要する。また両親の遺伝子の解析については同意が認められずしたがって新生配偶子性突然変異かどうかは不明である。発見された突然変異はcodon158のCGC(Arg)→CTC(Leu)の置換であり、系統間で保存されているアミノ酸であった。この変異は配偶子性突然変異としてはこれまでに報告がないものの肉腫を含む悪性腫瘍の体細胞性突然変異としては報告があり、腫瘍の発症に意義を持つものとおもわれた。 骨肉腫におけるRb遺伝子の体細胞性突然変異については63例の解析が終了し、構造異常、微小突然変異及び蛋白の発現異常がそれぞれ28.6%、6.0%、53.6%の頻度でみられた。またRb遺伝子の異常と臨床的予後不良とのあいだに相関が認められた。
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