1994 Fiscal Year Annual Research Report
バイオアクティブセラミックスの吸収及び分解に於ける細胞の役割に関する研究
Project/Area Number |
05454409
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 孝志 京都大学, 医学部, 教授 (10201675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 正典 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (20088537)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨リモデリング / 骨様アパタイト / 生体活性セラミックス / 吸収窩 / 骨代謝 |
Research Abstract |
これまで、生体活性な人工骨としてA-Wガラスセラミックを開発した。この材料の骨結合の機序を研究する中で、表面に骨に近い水酸アパタイトを形成し、これが骨のアパタイトと化学的に結合し、材料と骨が結合する事を見いだした。さらに、このアパタイト層は材料を無機イオン濃度を血清に合わせた疑似体液につけることでも形成できることが判明した。平成5年の本研究で、生後10日目の兎長官骨より取り出した成熟破骨細胞がin vivoで骨やデンチンと同様にこのアパタイトを吸収し吸収窩を形成することが判明した。本年度はさらに進め、これらのアパタイト吸収にホルモンや薬剤がどのように働くかの検索を進めた。カルシウム代謝に関与するホルモンとしてPTHとカルシトニン、薬剤としてビスフォスフォネイトのエチドロネイトを検索した。PTHは破骨細胞のアパタイト吸収にはあまり影響を与えなかったが、カルシトニンはアパタイトの吸収を濃度依存的に抑制した。エチドロネイトはアパタイトをA-Wガラスセラミックス上に形成させた後、エチドロネイトの入った疑似体液に浸漬するとアパタイトに吸着され、この上で破骨細胞を培養するとアパタイトの吸収は認められなかった。このことはアパタイトに吸着したエチドロネイトが破骨細胞の働きを抑制することをしめしている。また、培養液にエチドロネイトを入れると濃度依存性に破骨細胞の働きを押さえることも判明した。これらのことは疑似体液中でin vitroで形成されたアパタイトが骨のアパタイトと同様に吸収され、さらにホルモンや薬物の影響を同じように受けることが示された。これは単に材料の吸収という面からだけでなく、このシステムは人工材料で破骨細胞の働きを検索する有力な方法を提供するものと考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.Nakamura: "Departmnet of Bone-like Apatite Formation on Structure of Silica Gel" Bioceramics. 7. 49-54 (1994)
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[Publications] T.Nakamura: "Augmentation of Bonding of Porlus-COated Materials to Bone with Bioactive Ceramic Granules" Bioceramics. 7. 145-149 (1994)
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[Publications] T.Nakamura: "Ultrastructural study of the A-W GC-bone interface after long-term implantation in rat and human bone" 日整会誌. 28. 365-372 (1994)
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[Publications] 中村 孝志: "破骨細胞によるアパタイト吸収に及ぼすビスフォスフォネイトの効果:生体活性セラミックスを利用した破骨細胞の機能評価" Journal of Biomedical Research. 68. S1541- (1994)
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[Publications] T.Nakamura: "Osteoclastic resorption of apatite formed on apatite and wollastonite-containing glass ceramic by a simulated body fluid" journal of Biomedical Research. 28. 1-7 (1994)
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[Publications] T.Nakamura.: "In Vitro Osteoclastic Resorption of Bone-like Apatite Formed on Bioactive Ceramic in Simulated Body Fluid or on Plates using Biomimetic Method" Bioceramics. 7. 299-303 (1994)
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[Publications] 中村 孝志: "Journal of the Ceramic Society of Japan" Na2O-SiO2ガラスを核形成材として用いたバイオミメティック法による有機高分子表面へのアパタイト層の形成, 822-929 (1994)
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[Publications] 中村 孝志: "日本バイオマテリアル学会大会 抄録集" 各種bioactive material上での破骨細胞の誘導実験, 72 (1993)