1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗不整脈薬による催不整脈作用発生時の電気的除細動に対する抵抗性の検討
Project/Area Number |
05454414
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 裕史 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (60045341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 直光 筑波大学, 臨床医学系, 助手 (20223761)
佐藤 重仁 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (30143176)
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Keywords | メキシレチン / 心室細動 / 除細動必要エネルギー / 抗不整脈薬 |
Research Abstract |
メキシレチンは心室性不整脈の治療薬として使用されているが、一方では心筋の除細動域値を上げ、電気的除細動に抵抗性を示す(Marinchak 88)とされているが詳細な研究は行われていない。そこで今年度は心筋除細動域値に与えるメキシレチンの影響について研究を行った。 〈方法〉成犬を使用し、全身麻酔下に気管内挿管を行い、人工呼吸器へ接続した。吸気中の酸素、麻酔薬濃度、呼気中の炭酸ガス濃度などは本研究費で購入した呼気ガスモニターで行った。動脈圧、肺動脈圧、心拍出量を測定しながら血行動態を一定にし、心室細動発生/除細動(Fibrillation/Defibrillation:F/D)試験を計100回施行した。成犬は第4肋骨を切除、開胸し、F/D試験は直視下に本研究費で購入した細動発生器・除細動器を使用して行った。メキシレチンは1mg、2mg、4mg、6mg、8mg/kgのワンショット注入のあと、同量/kg/時の投与を60分間続け、この間10分毎にF/D試験を行った。投与中止後30、45、60分のwashout phaseでもF/D試験を行った。 〈結果〉血中メキシレチンの濃度は0〜6.2mcg/mlで、除細動に必要なエネルギーは2〜10jouleの範囲であった。これらの対応する100ポイントの濃度と除細動必要エネルギーとの相関をみたところ、両者の間に相関性はみられなかった。 〈考察〉これまで他のクラスI-Bの抗不整脈剤と同様に心筋の除細動域値を上昇させると思われていたメキシレチンは、臨床使用量(1〜1.5mcg/ml)の4倍近くまで濃度を上昇させても除細動域値に影響を与えなかった。患者が急変し、重篤な心室細動に陥ったときに他の抗不整脈剤に比べメキシレチンは安心して使用できるという可能性を示唆する。しかし、他剤との相互作用については今後の課題であり、次年度はこの点について研究を行う。
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