1993 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線、核磁気共鳴並びに免疫組織学的手法を用いた脳虚血に対する薬物効果の判定
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05454421
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒井 俊之 京都大学, 医学部, 助教授 (80175950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健次郎 京都大学, 医学部, 教授 (20025620)
中尾 慎一 京都大学, 医学部, 助手 (10207714)
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Keywords | 脳虚血モデル / 砂ネズミ / 近赤外線組織酸素モニター / 酸化型ヘモグロビン / 免疫組織化学的手法 / マップII / 活性酸素 / ネオプテリン |
Research Abstract |
脳虚血モデルの作成を行い、虚血中の脳酸素供給の状態を近赤外線組織酸素モニター(near infrared laser spectrophotometry,NIR)にて把握するとともに、虚血による神経細胞の障害の程度を免疫組織化学的手法により評価した。さらに、活性酸素消去薬であるネオプテリンを虚血前に投与して、その薬物効果を判定した。 1.虚血中の脳酸素供給の状態:脳虚血モデルとして砂ネズミの両側内頚動脈一時的結紮による全脳虚血モデルを作成した。砂ネズミの頭部にNIRのプローブを装着し、虚血中の酸化型ヘモグロビン(oxy-Hb)の増減をNIRにて連続的に測定することにより、虚血中の脳酸素供給の状態を把握した。8分間の虚血によりoxy-Hbが大きく低下し、虚血終了後直ちに復帰する例が多かったが、時に虚血終了後oxy-Hbが一旦上昇するという現象(リバウンド)が確認された。 2.虚血により生じた神経細胞の障害の程度:上記の脳虚血モデルを数日間飼育し、運動麻痺等の状態を観察した後、組織固定液による全身潅流を行い、脳を摘出した。脳切片を作成し、神経細胞の障害の程度を示す内因性マーカー(マップII)を指標に細胞壊死の部位と程度を判定した。8分間の虚血により海馬のCA1領域を中心に強い細胞障害が生じることが確認された。 3.活性酸素消去薬ネオプテリンの効果:虚血実験開始前に砂ネズミにネオプテリン(3mg/kg)を投与した。NIRによりoxy-Hbの変化を観察したところ、虚血によるoxy-Hbの低下は、ネオプテリン非投与群と同様に、全例に認められたが、虚血終了後のリバウンドが認められた例はなかった。一方、神経細胞の障害の程度は、ネオプテリン非投与群に比し、非常に軽度であった。これは、ネオプテリンが虚血終了直後に発生する活性酸素を消去して、虚血による細胞障害の程度を緩和したためと考えられる。
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