1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454423
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 美志也 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60243664)
中木村 和彦 山口大学, 医学部, 助手 (50180261)
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
|
Keywords | 一過性脊髄虚血 / 脊髄血流量 / 対麻痺 |
Research Abstract |
家兎を用いて大動脈遮断による脊髄血流,脊髄誘発電位,神経学的予後の検討を行った. 脊髄虚血作製方法を,予定していた大動脈内バルーンによる大動脈遮断から後腹膜アプローチによる直視下大動脈クランプに変更した.主な理由はバルーンによる大動脈閉塞が不十分の可能性があるためである.直視下に左腎動脈周辺を観察すると,ほとんどの家兎で左腎動脈起始部より3〜5mm末梢側に脊髄を栄養とする根動脈がみられることが判明した.従って,左腎動脈の起始部とその根動脈の間にテーピングを行い,大動脈を遮断することとした.直視下にこれを確認することで,より均一な脊髄虚血が作製できると思われる. 大動脈血流遮断時間を10分,15分,20分,25分,40分で行い,3日間神経学的評価を行った.現在までに得られた結果では,10分間虚血ではほとんど障害なし,15分間虚血ではほとんど障害なしまたはdelayed onset paraplegia,20分間あるいは25分間虚血ではdelayed onset paraplegiaまたはacute onset paraplegia,40分間の虚血ではacute onset paraplegiaである. 大動脈遮断中の脊髄血流を色素マイクロスフェアー法を用いて測定した.現在までの結果では,下部脊髄血流は大動脈遮断前31±1ml/100g/minで,遮断中は4±1ml/100g/minと低下し,遮断中にフェニレフリンで平均動脈圧を15〜20mmHg上昇させると11±1ml/100g/minと軽度上昇した.遮断解除後10分では71±4ml/100g/minと反応性充血がみられた.レーザードップラー血流計による下部脊髄血流の測定でもマイクロスフェアー法による結果と同様の傾向が確認できた. 正常血圧下では虚血時間が20分を超えるとL4,5分節性脊髄誘発電位の潜時の延長,振幅の減少がみられはじめ,約30分程度で完全に消失する.しかし,30分虚血では循環再開後約30分で誘発電位は回復傾向を示した.虚血時間を変化させ,Motor Evoked Potentialとの関連について,急性,慢性実験で検討を開始し,これらモニターの意義を検討中である. マイクロダイアリシスを用いた脊髄細胞外液のアミノ酸濃度の測定は,平成6年度に,障害予防法・治療法の検討と併せて行う予定である.
|
-
[Publications] 坂部武史 他: "一過性脊髄虚血後の脊髄血流および機能障害" 循環制御. (投稿予定).
-
[Publications] Takefumi Sakabe et al.: "Correlation of somatosensory and motor evoked potential responses to ischemic spinal cord damage" Anesthesiology. (投稿予定).
-
[Publications] Takefumi Sakabe et al.: "Spinal cord blood flow after transient spinal cord ischemia" J Cereb Blood Flow Metab. (投稿予定).