1993 Fiscal Year Annual Research Report
体外式心肺補助と肺の液体充填洗浄による、急性重症呼吸不全治療の基礎的研究
Project/Area Number |
05454424
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
寺崎 秀則 熊本大学, 医学部, 助教授 (30040562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 秀弘 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (80253748)
矢野 敏之 熊本大学, 医学部, 助手 (50253729)
津野 恭司 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (40163860)
牛島 一男 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (60136752)
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Keywords | 呼吸不全 / 体外式肺補助 / 体外循環 / 肺洗浄 / 膜型人工肺 |
Research Abstract |
急性重症呼吸不全症例の気道と肺胞を液体で完全に満たし、過剰の炎症反応物質と細胞を体外へ排除する新しい治療法の実用性と安全性を検討する目的で、犬の肺を乳酸加リンゲルで完全に満たし、体外式心肺補助(extracorporesl lung and heart assist,ECLHA)のみで安全に生命を維持できるか調べた。 方法:犬24例(体重9〜15kg)に頚部の動脈と静脈から脱送血するV-Aバイパスを24時間実施しながら、気管内チューブを通じ加温した乳酸加リンゲル液を約20〜30cmH_2Oの圧で充填した。一部の犬では、肺液体充填を2時間で中止し、液体を排除して肺機能の回復を調べた。3例の犬では、肺に液体を充填しないで24時間のECLHAを実施した。 結果:肺液体充填時、圧を30cmH_2Oにすると容易に肺出血を生じた。肺液体充填時のPao_2はECLHAのバイパス血流量に比例して変化した。肺出血、創部出血、低酸素血症、代謝性アシドーシス等のため大部分の犬は途中で死亡し、24時間安全に生命を維持できたのは6例であった。剖検により大量の胸水と腹水を認めた。肺に液体を充填しなかった例でも胸水と腹水を認めた。肺液体充填2時間で除水した例は正常のガス交換能を回復した。 考案ならびに結語:肺の液体充填により肺ガス交換が消失するから、ECLHAで生命を維持しなければならない。そのためには、心拍出量に匹敵するバイパス血流量が必要である。途中で死亡した例は、すべてECLHAの途中から脱血流が減少して必要なバイパス血流量がえられなかった。輸液量を増やすこは、バイパス血流量維持に有効であったが、膠質浸透圧が低下して、腹水胸水の発生を防止できなかった。肺液体充填治療法を安全に実施するには、肺液体充填時の充填圧を下げること、循環血液量の維持、膠質浸透圧の維持、脱血血流量の維持が重要である。
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Research Products
(1 results)